読書感想:幾億もの剣戟が黎明を告げる2 ひねくれ銃手と車椅子の魔弾

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:幾億もの剣戟が黎明を告げる1 無敗の剣士と夜を斬る少女 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で圧倒的な力を垣間見せ、それどころか新たな力まで手に入れたヤクモとアサヒ。しかし彼等は未だ未熟である。彼等の放つ幾億もの剣戟がいつか黎明を告げるとしても、まだ彼等は未熟なものであり最強の一角にすら届いていない。だが魔族達は待ってくれない。いつでも退屈しのぎに人間を滅ぼすべく、機会を伺っているのである。

 

 

しかしまずは訓練生同士の大会が主目的である。ここを勝ち抜かなければ最強には手が届かぬ。前巻の戦いで「黒点化」を果たした事で否が応でも注目を集め。周囲の者達が蔑みの視線を掌返しをする中、ヤクモとアサヒは次の試合の相手である「魔弾」と呼ばれる力を操る先輩訓練生、スペキュライトとその姉であり拳銃に変身するパートナー、ネアと出会い。意外とさっぱりした人格者である彼等と仲良くなっていく。

 

 だがしかし、彼等の元にいきなりラスボスクラスの敵が迫っていた。魔人及びそれに率いられた魔物達が都市へと進軍を開始し。ミヤビとヘリオドールという二組の「黎明騎士」が迎撃に出るも戦力的に守り切れぬことは明確で。戦力を補うためにミヤビによりヤクモ達候補生が集められ迎撃に出る中。彼等は唐突に魔人の襲撃を受ける事になる。

 

「どうやればこの私を殺せるか、じっくりと考えると良い」

 

壮年の魔人の余裕に満ちた強者ゆえの優しさの前、皆で作戦を立てて。魔人から引き出した魔王の存在についての情報を胸に、全員で力を合わせて力を届かせる。

 

「誰がご主人様か、教えてあげる。躾の時間、だね?」

 

 だが、そこに襲来するのは最悪の敵。「黎明騎士」にすら匹敵する特級の魔人、セレネ(表紙手前)。全員の力を結集し、しかしなお一手届かず。結果として因縁が残ってしまう。

 

「決着は明日、試合で」

 

「あぁ」

 

けれど、其ればかりを気にしている訳にもいかぬ。乗り越えたのなら日常に戻るのみ。そして次なる試合の相手であるスペキュライトとは、ぶつかり合うしかないのだから。

 

幾重にも性質を変える魔弾と、万能の刀。激しいぶつかり合いは望んだもの。だからこそ外野の言葉何ぞ不要、全ては己が武で語るのみ。再び繰り広げられるのは、己の誇りを賭けた戦い。互いに死力を尽くした、一か八かが連鎖する戦いなのである。

 

更に世界観に奥行きが出来、物語として本格的に動き出す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

幾億もの剣戟が黎明を告げる 2 ひねくれ銃手と車椅子の魔弾 (オーバーラップ文庫) | 御鷹穂積, 野崎つばた |本 | 通販 | Amazon