読書感想:一緒に剣の修行をした幼馴染が奴隷になっていたので、Sランク冒険者の僕は彼女を買って守ることにした3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:一緒に剣の修行をした幼馴染が奴隷になっていたので、Sランク冒険者の僕は彼女を買って守ることにした2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でヒロインであるアイネに装着された「性属の首輪」の力により彼女の身体から「色欲の魔剣」なるものが生まれた訳であるが、勘のいい読者様であればもう既にお気づきであろう。「色欲」、つまりは「七つの大罪」である。と言う事は他の大罪の名を冠する何かしらの武器もあるのではないだろうか、と思われた方もおられるかもしれない。その予感は正解である。そう、他にも七つの大罪の名を冠する魔の武器は存在し、そして首輪や武器に関する秘密の一端、大きな欠片が明かされるのが今巻なのである。

 

 

前巻の戦いの中で帝国の英雄とも呼ばれる最強の騎士、ジグルデにより傷を負わされ。身を隠すのと療養の為、という名目もありリディンという温泉の町へと出かけたリュノア、そしてアイネ。

 

「そう言うのなら、試しに使ってみようか」

 

無論、温泉地にあっても冷めぬ二人ではなく。偶々泊まった宿の中で見つけた謎の玩具らしきものでアイネを苛めたり、温泉でいちゃいちゃしたり。温泉にも負けぬ熱さで二人の愛は更に燃え上がっていく。

 

「少しばかり急いで行きましょうか」

 

 そんな二人を再び帝国からの追手が襲う・・・かと思いきや。二人の事を探し邪魔になるからと追手を殺して見せた謎の存在が二人へと接触してくる。彼女の名は「ルリエ」。(表紙右) 眠り続ける生きた少女が入った棺桶を背負う謎のシスターであり。「怠惰」の魔槍の所持者である。

 

温泉地で受けた依頼に感じるきな臭さ、その原因である強大な魔物を狩る事を依頼し、対価として自身の知る限りの情報を話すと嘯く彼女。

 

敵、のようでは現状ない。それどころか話が通じるし、悪い人にも見えぬ。彼女と共同戦線を張り挑むは「黒虎竜」と呼ばれる強大な魔物。一定範囲の敵の動きを封じる「怠惰」の魔槍の力を借りあっという間に討伐、したかと思った瞬間。帝国からの追手である最強の騎士、強者との戦いを望む戦闘狂、ダンテが彼等の元へと襲来する。

 

「なら、差し出せなんて言うのが失礼ってもんだよなァ!」

 

リュノアの瞳の中に嘘偽りのない感情を見つけ、故に自分なりの礼を貫き。始まるダンテとリュノアの一騎打ち。だがそれにより引き離されたルリエとアイネの元にもダンテの協力者、幾多の魔道具を操るSランク冒険者、アールドが襲撃をかける。

 

一瞬の隙を突かれルリエが囚われ、絶体絶命。リュノアはいない、打つ手なし。

 

「君には今から『色欲の魔剣』の使い手になってもらう」

 

 だがしかし、突然現れたルリエが背負う棺桶の中身、魔槍の本来の所有者である少女、レティはアイネに告げる。使い手になれば、状況は変えられると。その言葉通り、アイネが本当の意味で力を振るう時。まるで彼女のようでそうではない人格と共に圧倒的な力が目覚め。それにより稼がれた時間でリュノアが駆け付け、辛くも勝利は手にされる。

 

戦いの後、明かされた衝撃の事実。それはアイネにつけられた首輪やレティが眠る棺桶は特別なものであるという事。どういう事か。何と、彼女達に関わる道具には数百年前に存在していた種族である「魔族」の魂が込められ、適合者である彼女達は徐々に魔族の魂との融合を開始しているという事である。

 

明かされた事実は更に舞台に重厚さを与え。舞台は間もなく政変に揺れるだろう帝国へと移っていく。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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