読書感想:聖剣学院の魔剣使い10

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:聖剣学院の魔剣使い9 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でこの世界のレオニスが知らぬ歴史と言うものに触れた事で、世界観というものに深まりが出た本作品であるが、そもそも最も大きな謎、というものはすぐ側にあると言っても過言ではないと言ってもいい、というのは画面の前の読者の皆様もご存じではないだろうか。

 

 

それはセリアに秘められた謎。世界の秘密を解く鍵、というものに気が付かぬ間に近づきつつある彼女。彼女は一体何なのか。そしてもう一つはレオニスについての謎。何故彼は転生時に子供の姿になってしまったのか? 何故彼に発現した聖剣は彼に縁もゆかりもない銃の形をしているのか?

 

 その答えのすべてに答えが出る、という訳ではない。しかし更に世界の謎が深まっていく。世界観に広がりが出来ていくのが今巻なのである。

 

前巻で「ヴォイド」の本拠地である虚無世界に囚われたレオニス達。シャトレス達は帰還を目指す中、レオニスは調査のためにこの世界に一時的に残る事を選び。彼の事を放っておけないリーセリア、レギーナ、咲耶が同道する事を選び。いつものメンバーでこの世界の調査へと乗り出していく。

 

「偶然、だとは思えないんです」

 

 この世界を見、レオニスの中に浮かんだ疑問。それはこの世界と元の世界はまるで鏡写しのようによく似ているという事。元の世界では残っていないものが虚無世界では残っている。なれば調査すべき所がある。それは「ログナス王国」の跡地。レオニスがまだ勇者だった頃の故郷である。

 

だがしかし、かの王国の王都はヴォイドとも違う謎の化物が跋扈する地と化していた。その化物とは何か。それは「機骸兵」と呼ばれる古代の殺戮兵器。魔王の一体「機神」の配下でありその消滅と共に活動を停止した筈の存在。その存在を前に謎の転移魔法でセリアと離ればなれとなり、交戦中にレオニス達は謎の地下空間に落下してしまう。

 

 取り戻す為に合流を目指し歩き出す彼等。だがその中で咲耶にレオニスの正体が露呈してしまうという場面もあり。その裏でセリアは謎の声に導かれ、レオニスの過去と思しき映像を垣間見る。

 

おかまいなしと言わんばかりに襲い来る「機骸兵」、その脅威をヴェイラから貰った新たな力を手にはじき返していくセリア。だが合流の先、この地に封印されていた存在を守護していた「機神」が目を覚ます。

 

「ここにおわしたのですね」

 

 絶望的な戦いが始まるその裏、封印の場に辿り着いたネファケスが発するのは、衝撃的な名前。決してあり得ぬ筈の「彼」の名前。

 

果たしてどういう事なのか。一体何がどうなっているのか。それはまだ分からぬとしても、確かに状況は動き出しているのである。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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