読書雑記:「GW特別企画」、真白優樹流ブログにおける感想記事の書き方なお話。

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こんばんは。連休も今日で終わり、明日から仕事という方も多いのではないでしょうか、真白優樹です。さて本日は、偶には後進を育成するというわけでもないですが、ラノベブロガーの方、自分の感想を叫ぶことが出来る方が一人でも増える事を願い、このはてなブログにおいての真白優樹流の感想の書き方について、お話したいと思います。

 

① まずは感想を書きたい作品を全部読もう。

 

ある意味当たり前かもしれませんが、まずはきちんと購入して読みましょう。他人の感想から作品のストーリーを想像して感想を書く、なんて事はしてはいけません。きちんと読む事が、良き感想を書く第一歩です。

 

② 作品のストーリーの流れと場面の変遷、登場人物の人間関係を頭に入れよう。

 

これは感想を書く上で重要な事であると私は思います。ストーリーの流れと起承転結、登場人物の人間関係。作品中ストーリーの説明をする際はここを自分の言葉で説明できると、芯に迫った感想が書けると思います。

 

③ 感想を届けたい読者層を意識した言葉遣いを意識しよう。

 

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例えばですが、こちらの作品の帯の裏面を見た事があるでしょうか? 小学生や中学生の方々の率直な感想が記されています。その感想を見た時、画面の前の貴方は幼稚と笑うでしょうか。ふっと笑うでしょうか。

 

だが、確かに大人の感想と比べれば語彙力もない未熟な感想かもしれません。ですが、この作品の感想はそれで良いのです。

 

例えば、私の普段の感想のような捻った、ルビも何も振っていない感想で面白さが青い鳥文庫のメイン読者層である筈の小中学生に対して届くでしょうか? きっと届かない筈です。だからこそ、真っ直ぐに何のてらいも捻りもない感想の方が共感を得られるでしょう。故に、感想記事を読んでいただきたい読者層、面白さを届けたい読者層を意識する事は大切なのです。

 

④ 主観はいらない、客観だけあれば良い。

 

個人的には、割とこれが重要なのではないかと思います。

 

無論、画面の前の貴方の主観は尊い物です、大切にしていただきたいものです。ですが、その面白いという感情は必ずしも万人に共通するものでしょうか? 例えば、某とある魔術の禁書目録、人気シリーズですね? 万人が面白いと思われるからこそ、人気でしょう。ですが、面白くない、つまらないと受け入れない読者の方もおられるかもしれません。

 

そういう方々に主観の面白さを押し付けても、意固地になり受け入れられない事もままあります。ならば客観的に説明し、興味を惹いてみた方が受け入れられるかもしれません。なればこそ、感想において客観性は重要なのです。

 

⑤ 作品に込められた面白さ、作者様が伝えたい見所を理解しようというお話。

 

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例えば、この作品に込められた主軸は「喪失からの再生」です。

 

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例えば、この作品に込められたテーマは「いつも通りを求めて、成長していく」ことです。

 

と、このように作品には作者様が伝えたいテーマ、面白いと感じてほしい所が存在します。そこを捉え、少しでも言語化する事。これが一番大事であり、良き感想を書く為の第一歩であると思います。

 

⑥ 作品に対する敬意を忘れずに。

 

否定の形でも、肯定の形でも。作品に対する敬意、それを忘れずに感想を書きましょう。

 

⑦ 感想は攻め込むのではなく、説明して誘う事を意識する。

 

では、感想を書く際にはどんなスタンスであるべきか。例えばボクシングのようにジャブで崩し、ストレートを何回も叩き込み、最後はアッパーで決める。それもまた一つの形であるかもしれませんが、それでは押しつけがましい形になってしまうかもしれません。

 

それよりは、例えばショーケースの前ですらすらと説明し、最後は虜にして購入へと誘う。それくらいの方が良いと思います。

 

⑧ 良き語彙力は全てから。

 

最後に、豊富な語彙力を身につけるにはどうすれば良いのか。それは簡単です。例えば本。ラノベだけではなくお固い小説にはラノベとは違った言葉遣いが溢れています。ニース番組にだって言葉遣いがあります。言うなれば全てが教材です。故に貪欲に、接した全てから吸収する事。それが一番大事です。

 

いかがでしたでしょうか? 真白優樹流感想記事の書き方でした。内容を追加したくなったら追加するかもしれません。では画面の前の読者の皆様、恐れずまずは一本書いてみましょう。困ってしまったら先人の書き方を参考にすればよいのです。何なら悪意のない使い方であれば、私の感想はいくらでも真似してくださって構いませんので。

 

読書感想:放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品は最近の流行の一つである多数ヒロインが登場するものであるのか。と聞かれると少し違うかもしれない。あくまでこの作品は、メインヒロインである泪華と姉ヒロインである紫苑、先輩ヒロインである奏多に振り回される主人公、静流が成長していくお話であり、似た者同士の泪華と少しずつラブコメを繰り広げていくお話なのである。

 

「隣にいるのはわかってるんだ。だからわざわざお願いするまでもない」

 

いつもの泪華からのアプローチをさらりとかわし、けれど時折相手がその意味に気付く前にハードなパンチを繰り出し。振り回されながらも相も変わらずの日々を過ごす静流。

 

だが、客観的、受動的なだけではいられぬ問題が再び静流に牙を剥く。それは友人である直井とのすれ違い、そして自分が泪華に付きまとっていると言う根も葉もないうわさである。

 

紫苑に好意を抱くと知っているからこそ誤魔化したのに、あっさり紫苑が真実を暴露してしまい。温度差故の齟齬が直井との間にすれ違いを巻き起こし、険悪な関係となってしまい。追い打ちをかけるかのように根も葉もないうわさが静流を振り回す。

 

 一体、紫苑とはどういう関係であるのか。泪華に向ける思いはどういう類のものなのか。大切なものを失いそうになる中、静流は自分の中での見直しを迫られる。本当に大切なものを失わぬため、支えてくれる人の思いを無下にしない為にも。心の中での答えを今、はっきりと。

 

「なぜ正しい答えを出さないといけないの?」

 

後押しするかのように、静流の勘違いと愚かさをはっきりと指摘し奏多は言う。大切なのは常識なんかじゃない。自分がどうしたいか、ただそれだけだ、と。

 

「僕は瀧浪先輩が好きだ。自分の感情が本物かどうか疑ってしまうときもある。でも、どんなに考えてもその想いは確かに僕の中にあって、消えたことはない。この想いで瀧浪先輩に向き合いたいと思ってる」

 

後押しを受け、やっとみつけた自分の想い。何度再観測しても消えなかった、只一つの思い。

 

「わたしに静流がいるように、静流にはわたしがいる―――そう思わない?」

 

その告白にも近い言葉を聞き、泪華は改めて静流を肯定し彼の中の「自分」を認める。私と共に居る時は、貴方は貴方である。だからこそ、大丈夫だと。

 

もっと自分の気持ちに自身が持てるようになったら。その答えは、素直ではないのかもしれない。けれどそれは彼の精一杯。だからこそ案ずることはない。実質的に両片思いのようなもの。

 

だが、そこから一歩超えるまでがもどかしい。故にこのラブコメの本番は、まだまだこれからである。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはり繊細な心情描写が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ2 (ファミ通文庫) | 九曜, フライ |本 | 通販 | Amazon

読書感想:元スパイ、家政夫に転職する2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:元スパイ、家政夫に転職する - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、一流スパイから葉桜家の家政夫というまさかの転職を成し遂げ、早速一巻で三姉妹の心を掴んで見せたこの作品の主人公、クロウ。だがしかし、彼の知らぬ所で謀略は巡っているものであり、彼の預かり知らぬ所で、彼には一つの役目が課されている。そんな、スパイ方向への掘り下げを進めていくのがメインとなるのが今巻である。

 

監視団体、懲罰機関、幽閉機構。フルピースと肩を並べる組織との会合の後、キャサリンは監視団体のボスの側近、エリーよりスパイの暗号で告げられる。フルピースの中には三人の裏切り者が潜んでいると。

 

 それも、三姉妹の母親である冬子を仲間に引き入れる為に送り込まれた事も知らず。現場の第一人者であるクロウは、どこぞの機関のスパイであると見抜いたギャル系のママ友、流美と契約を交わしスーパーのタイムセールという、主婦にとっての戦場へと挑んでいく。

 

そんな彼へと襲い来る新たな波乱。その運び主であり、今巻でクロウが救う事になる相手。それは大学生である長女の夏海。彼女が抱えるトラウマへと立ち向かうのが、今巻の主軸である。

 

「・・・・・・ありがとね」

 

夏海が望まぬ合コンへと行くのなら、人ひとり眠らせ潜入する事だって訳もなく。気が付かぬ間に救われていた、その事実に彼女の胸の中に浮かび上がるは感謝と懺悔。強く振る舞おうとするけれど、未だに強くなれぬ弱虫な心。

 

更には何の因果か、運の悪い事に夏海の前に自身にトラウマを刻み付けた象徴が姿を現す。

 

それは、冬子が遠くまで飛ばしたはずの暴力団、その若頭。かつて非人道的な行いで夏海に迫り、その心に傷をつけた許せない者。

 

 では一体何をすべきか。それはもう当然決まっている。全てをスマートにこなし、クールに終わらせるのが家政夫の役目だから。

 

「だが、このスープを飲み干すまでは、しっかり見ているよ。ズルい夏海も、弱い夏海も、全部」

 

ただ受け止めるのではなく、全部受け止めると告げて側にいて。

 

「夏海、戦おう」

 

「俺は弱虫は嫌いだ。でもな、夏海―――」

 

「―――強くあろうとする人間は、誰よりも、なによりも尊敬する」

 

そして、ただ打ち倒すだけでは意味がない。彼女に乗り越えさせなくては意味がない。だからこそクロウは、敢えて夏海を連れて抗争の場で暴れ回り、彼女自身にトラウマを越えさせる。

 

また一つ、家族の絆を強くして、信頼も勝ち取って。けれど、不穏の種、裏切り者はすぐ近くに潜んでいる。

 

家族の絆のホームコメディの色を強めながら、更にスパイものの色を出していく今巻。

 

ホームコメディが好きな読者様、前巻を楽しまれた読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

元スパイ、家政夫に転職する2 (角川スニーカー文庫) | 秋原 タク, ハリオ |本 | 通販 | Amazon

読書感想:僕に興味をなくした元カノと幼馴染な今カノがなぜか修羅場ってる2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:僕に興味をなくした元カノと幼馴染な今カノがなぜか修羅場ってる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様であればこの作品がラブコメ、というよりは青春すれ違いギャグコメディであるという事はもうご存じであろう。では一体、この巻では何処まで、というよりかはどんな方向へ進んでいく事になるだろうか。

 

その答えは簡単、と言ってもいいかもしれない。ラブコメの方向を掘り下げていく事になるのか? それは違う、この作品は青春すれ違いギャグコメディである。なればそちらの方向に話を掘り下げていかぬ訳もなく。

 

 その様は、まるで某富士見ファンタジア文庫の人気作品、某ゲーマーズ!が如く。かの作品をリスペクトしたかのようなドタバタとすれ違いが繰り広げられるのである。

 

「わかったって言ってんだろ! このまま俺たちを拷問する気か!?」

 

前巻の最後からの続き、雫と一緒にいた所を健吾に目撃され修羅場となりかけ。警察沙汰になってしまうも、警官の前で繰り広げるのは健吾の叫びが似合う、すれ違いと「何故そっちの方向に行くのか?」と思わずツッコんでしまいたくなるほどの勘違いが織りなすドタバタ騒ぎ。

 

「というわけで高嶺さん。貴女に挑戦状を叩きつけていいかしら?」

 

「いいよ。売られたケンカは買ってあげる。受けて立つよ夏川さん」

 

「決まりね」

 

 乗り越えたかと思ったのも束の間。雫は繭香に宣戦布告し、何故か翔太を連れWデートに行くことになってしまう。

 

この面倒くさく、どう絡まったらこうなるんだと言わんばかりの運命の糸。これで済めばまだマシ、であったのかもしれない。だが、Wデートの場に参戦するのは三人だけではない。健吾と天使のお互い勘違い中のカップルもまた、運命の悪戯かのように参戦してくるのである。

 

 すると一体どうなるのか? もうお分かりだろう。収拾不可能、というかどう収拾すれば良いのかと思わず白旗を上げたくなるほどの大騒動、これでもかと勘違いとすれ違いを重ねていく珍道中デートである。

 

けれど、恐ろしい事にこの二巻までがプロローグである、と後書きで語られている。既にロケットブースターでかっ飛んでるのではないかと思える程のこのテンションとドタバタでも、まだ本番ですらない。寧ろここからが本当の始まり。

 

 そう言わんばかりに、翔太を襲う突然の不幸。失われた彼の一部がこの作品の舞台をひっくり返し、全てを強引にリセットし、一から始めさせるのである。

 

強引にでも始まる、全員揃ってのスタートから。果たしてこれはどう作用するのか。

 

前巻を楽しまれた読者様、青春ドタバタコメディが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

僕に興味をなくした元カノと幼馴染な今カノがなぜか修羅場ってる2 (角川スニーカー文庫) | 急川回レ, magako |本 | 通販 | Amazon

読書雑記:「GW特別企画」幼馴染ヒロインの魅力、幼馴染がヒロインだからこその良さについて私見のお話。

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こんばんは、連休四日目。早くも連休が終わる気配に、休みの日が早く過ぎると言う事を改めて実感している真白優樹です。さて、突然ですが下記の記事を見てみてください。↓

「特別企画」 同級生ヒロインの魅力、同級生がヒロインだからこその良さについて私見のお話。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

という訳で、今回はGW特別企画四本目、前回の記事の続きとして幼馴染ヒロインについての良さを私見で紹介したいと思います。それはちがう、と思われる読者の皆様はどうか心置きなく否定なさってください。でも、もし否定されないという読者様はこの先も読んでみてください。

 

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読書感想:大親友が女の子だと思春期に困る ようこそ1000分の1秒の世界へ! - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

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読書感想:「私と一緒に住むってどうかな?」 1 見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

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読書感想:幼馴染で婚約者なふたりが恋人をめざす話 1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

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読書感想:世界一かわいい俺の幼馴染が、今日も可愛い - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

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読書感想:男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 2. じゃあ、ほんとにアタシと付き合っちゃう? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

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読書感想:あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この記事においては上記六作品を参考文献として使用させていただくため、画面の前の読者の皆様は出来るならば上記六作品を出来れば紙媒体で読了してから読んでいただきたい。この記事を読み終えてからでも可とする。

 

・幼なじみヒロインの私見的魅力その① 「夢」であるからの面白さと甘さ。

 

さて、前回の記事で私は、同級生ヒロインを「現実」として例え、その面白さについて語った次第である。では、幼馴染ヒロインは一体、どんな存在であるか。それはもう、画面の前の読者の皆様もお察しなのではないだろうか。幼馴染、それは「夢」のようなものだと私は思う。

 

上記六作品の中において幼馴染であるヒロインは、それぞれ「幼馴染」であると共に、「大親友」、更には「婚約者」という属性を併せ持っている。では現実においてはどうだろうか。異性の「幼馴染」であれば、いるかもしれない。だが、「幼馴染」であり「大親友」な存在がいると言う方はどれほどおられるだろうか? ましてや「婚約者」という存在がいる方はどれほどおられるだろうか?

 

 そういった存在は滅多に、いやほぼいないのではないだろうか? そう、「現実」には存在しない、故に「夢」。夢のような存在だからこそ、読者はそこに夢を見るのだろう。そして、「夢」を見たいからこそ幼馴染ヒロインが持て囃され、面白いと流行するのかもしれない。そこにあるのは憧れ、希望。だからこそ面白い。魅力的に見え、実際に魅力を持っているのである。

 

・幼馴染ヒロインの私見的魅力その② 「既に完成している」からこその甘さ、そして拡張性。

 

 

 さて、二つ目の面白さを語る前に幼馴染がヒロインである作品を一作品、思い起こしてみてほしい。ヒロインと主人公の関係を思い返してみてほしい。その関係性は、既に完成してなかっただろうか。既に主人公と二人、軽妙な掛け合いや二人の世界を作ったりはしていなかっただろうか。

 

 そう、幼馴染とは作品の時間軸が始まる前に往々にして二人の時間を積み重ねていたりする。だからこそ、作品が始まった時に既に二人の関係性はある程度完成している。まるで既に出来上がったケーキのように。故に一からイベントを積み重ねる必要もなく、言わばフライングした状態から関係性を始められるのである。

 

例え疎遠になっていても、一からやり直す必要もない。永い事積み重ねた経験や関係はそう簡単には忘れない。身体が覚えていると言う感覚をご存じの読者様もおられるだろう。だからこそ、初めから甘く、時間と手間がかからない面白さがあるのである。

 

更に、例えば上述した通り「婚約者」という属性を「幼馴染」ヒロインに付与する事が出来るとする。その場合、未成年であるならば両家の承認が必要であろう。だが、既に気心の知れて家族ぐるみの付き合いであるのなら、その関係性を付与する事も容易く済む。

 

若しくは、疎遠となった幼馴染同士が何らかのきっかけによりまた仲を取り戻す、そんなラブコメを読まれた読者様もおられるだろう。では、疎遠となったのが「同級生」であるならどうか。よほど深い付き合いでもない限り、関係性を一から築き直すのは結構な労力を伴うかもしれない。だが、前述した通り「幼馴染」であれば。仲の良かった頃を身体と心で覚えていれば、すぐにまた仲良くなれる。更に、関係性をやり直すと言う展開にはもどかしさとそれに伴う甘さが存在する。だからこその面白さもある。

 

もうお察しではないだろうか。「幼馴染」だからこそ付与できる属性があり、作れる関係性がある。ステップを幾つも飛ばせるお手軽な関係と言うだけではない。様々な属性を付与できる拡張性もまた幼馴染ヒロインの良さなのだと私は思う。

 

総括して言うなれば、既製品。だが完成された甘さがある。故にこそそれが魅力となり、今のラブコメ界で人気を博しているのだと私は思う。

 

ここまで読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました。もし興味が湧かれましたら、ぜひ幼馴染ヒロインの作品を読んでみてください。出来れば上記の作品を。

 

 

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追記:そして、幼馴染ヒロインが好き、今好きになったという読者の皆様は、今週土曜日発売のこちらの作品も読んでみてください。今、私が一番期待している幼馴染ヒロインの作品です。

読書感想:恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品の主人公である龍馬の強みとは何であろうか。それは誰かの為に親身になれる事。誰かの思いにきっちりと向き合える事、それであろう。だからこそ誰かの心を惹きつける事が出来るし、魅了する事だって出来る。だがしかし。考えようによっては、それは諸刃の剣であると言えないだろうか?

 

だってあくまで彼は「恋人代行」である。ホンモノの恋人ではなく、ニセモノの恋人同士。お金と時間だけで繋がった、ドライであるべき関係である。

 

故に彼は、「恋人代行」に向いているし向いていない。そんな事実を突き付けてくるのは新ヒロイン。龍馬の姉であるカヤの上司、葉月(表紙)である。

 

大人には泥酔したい時だってある。その欲求に基づき泥酔してしまい、道端で力尽きた彼女。そんな彼女に出会った龍馬は、いつもの気遣いを発揮し、通行人に絡まれないように女性運転手を指名しタクシーを呼び、彼女を家まで送り届ける。

 

普通であれば、それで終わりかもしれない一期一会の関係。だが、何の因果か彼女は龍馬の上司である千秋と言わばビジネスパートナーのような存在であり。まるで何かに引き寄せられるかのように、恋人代行サービスの場で二人は再会してしまったのだ。

 

「お仕事いつもお疲れさまです。でも、今は自分と遊んでるんですからつらいことは忘れてください。自分がリードできるように頑張りますので」

 

「だから斯波くんはそのままの性格でいてちょうだいね。その方が喜ばれるから」

 

葉月に誘われ訪れた大人のバー。時にくぎを刺され、時にたしなめられたりしながら。龍馬はまるでワンコのように葉月に寄り添い、ベテラン代行者キラーとまで呼ばれた葉月の心を溶かしていく。

 

 

「二時間早いけど・・・・・・メリークリスマス。姫乃の漫画が上手くいくようにこれからも祈ってるから」

 

葉月でこれなら、既に関係を積み重ねた姫乃に対して出せる甘さがこれだけである筈もなく。打ち解け、分かり合ったからこそもっと近い距離で。姫乃の心に入り込み、擽るかのように。彼女に取ってもっとも欲しかったものを、龍馬は彼女の心に届ける。

 

 そんな思いを示され、姫乃が本当の恋心を抱かぬ訳もなく。けれどそれは、禁忌の思い。恋人代行、という立場では決して踏み込んではいけぬ心の距離。

 

それもまた仕方のない事かもしれない。彼はまだまだ未熟であり新人。若いからこそ、自分の全てを必死に律しようとしても、律せる事は難しい。

 

そんな彼に迫る、二つの危機。波乱の聖夜の先、巡り来る年はどうなってしまうのか。

 

前巻を楽しまれた読者様、もどかしくてどこか切ないラブコメが好きという読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる2 (角川スニーカー文庫) | 夏乃実, ふーみ |本 | 通販 | Amazon

 

読書感想:転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます3

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前巻感想はこちら↓

読書感想:転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、魔剣を量産するは魔神を討滅するは、単に魔術の研究だけしていたいけど色々成果を残し過ぎたせいでどんどんと注目を集めていく、我等が主人公であるロイド君。強力な味方もいる、都合の良い実験対象もいる。徐々に整いつつある彼の陣営、と言っても良い存在。が、しかし。彼にもまだ未収得である魔術があり、彼にとってアンタッチャブルと言っても良い魔術があった。

 

今巻で触れていくその名は、神聖魔術。神の奇跡を修行と術式で再現し行使する、紙に仕えるものだけが使う事の出来る魔術。

 

では何故アンタッチャブルなのか。それはロイドの過去の暴走に原因がある。

 

特に神を信じている訳でもないし、修行が結構面倒くさいし。手っ取り早く魔術を知ろうと教会の書庫に侵入する。そんな前科があるが故に、彼は教会を出禁になってしまったのである。

 

だが、魔術を極めその真髄を覗くのであれば神聖魔術に手を出さぬわけにもいかず。教会と信仰の深い第四王女、サリア(表紙左端)の助けを借り、知己であったシスター、イーシャの手も借り。何とか彼は、教会内部へと侵入を果たす。

 

 ではここから、ロイドの修業編が始まる・・・と言ったら嘘になる。規格外な魔力の持ち主である彼が、一足飛びを成し遂げない訳もない。

 

ひょんな事から辿り着いた、人間では決して立ち入れぬ筈の聖域、天界。かの地で出会ったのは天使の一柱、ジリエル。

 

排除しようとしてくるジリエルを規格外の魔力で逆に下し。邪な思いを秘めたジリエルがロイドと契約してみれば、何故か左手の皮一枚しか乗っ取る事が出来ず。

 

 お分かりいただけただろうか。図らずも彼は天使と魔族を同時に従える者となったのだ。そんな彼が挑むのは、グール事件に端を発する、教会を統べる者の黒い思惑。

 

悪しき心の持ち主ではなかったが故に身に着けた力は効かず、大切な者達を二度も失い。哀しき悪は魔が交じり合った外道へと身を墜とし、ロイドの前に立ち塞がる。

 

「最強の存在、か。思ったほどではないんじゃないか?」

 

 が、しかし。ロイドにとってはそんな存在ですらも利用対象としか見えず。結果的に最強の力を手にした彼に、そんじょそこらの悪役が叶う訳もないのである。

 

前巻に引き続き、ゆるく楽しいファンタジーな空気が吹き抜ける今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、ゆるめのファンタジーが好きと言う読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます3 (講談社ラノベ文庫) | 謙虚なサークル, メル。 |本 | 通販 | Amazon