読書感想:「私と一緒に住むってどうかな?」 1 見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる

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さて、DIYと言えば画面の前の読者の皆様にとっては何であろうか。鉄腕ダッシュだろうか。それともいきなり黄金伝説における無人島生活の有野さんのDIYだろうか。私としては無人島生活の方なので、そちらの印象の方が強いと言う読者様がおられる事を願う次第である。

 

ごく普通の手先が器用なのが取り得な少年、劉生。料理だけが得意な他は不器用なぽんこつ美少女、扇奈(表紙)。

 

 二人は小学校同士からの親友であり幼馴染である。

 

「なんでじゃねぇよ! お前が着ている服に穴が開いたからって、どうして俺が自分の着ている服を提供しなくちゃいけないんだ!?」

 

「だって、劉生は私のたった一人の友達じゃない」

 

そして、いつも公衆の面前でこんな歯の浮くような会話を繰り広げ、日常的に扇奈が劉生にべたべたといちゃつきを仕掛ける間柄である(しかしこの二人は付き合っていない)。

 

「知らないの? 先輩が言ってたけど、二年で有名なバカップルなんだって」

 

 見ず知らずの後輩にそんな事を言われるまでに、バカップルめいたやり取りを日常的に繰り広げる(※ただし付き合っていない)二人はもう一つ共通点があった。それはお互い、家庭の事情により家に帰りたくない者同士という共通点である。

 

そんな二人は、扇奈の父親にふとしたきっかけで、彼女の亡き祖父が遺した田舎の家へと案内される。

 

自転車で三十分もあればたどり着ける、廃屋と化した祖父の家。かの家を見て劉生は、秘密基地として改装する事を思いつく。その横顔を見て扇奈の中に芽生える想いが一つ。それは、余人の目が無いここでは存分に劉生に甘えられるという事。

 

最早言うまでもない事かもしれないが説明すると、劉生と扇奈は両片思い同士な幼馴染である。だが、扇奈の暗黒時代である中学時代を見てきたからこそ、友人であろうとする劉生と恋人同士になりたい扇奈。気持ちがすれ違うままならぬ幼馴染である。

 

そんな二人が曲がりなりにも二人きりになればどうなるか。そこに待っているのは幼馴染同士、気が置けぬ同士の打てば響く会話劇。そして余人の目が無いからこその糖度を増した扇奈の攻勢から始まるいちゃいちゃである。

 

二人で腰掛ける椅子を作ったり。延々と草むしりをしたり畳を干したり、更には風呂を作ったり。

 

そんな改造の日々の中、薄着になってみたり、膝枕したり、裸セーターで迫ってみたり。

 

「わ、私も一緒に住むっていうのはどうかな?」

 

 可愛い彼女に振り回され、すれ違ったりするけれど、危機が迫った時も抜群の以心伝心で切り抜ける。両片思いだからこそ甘酸っぱくてもどかしい。そんなレベルの高い王道のいちゃいちゃが繰り広げられるこの作品。読んで損はないとそう断言したい。

 

ブコメが好きな全ての読者様、何かを創り出す楽しさが読んでみたい読者の皆様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

「私と一緒に住むってどうかな?」 1 見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる (HJ文庫) | 水口敬文, ろうか |本 | 通販 | Amazon