読書感想:恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品の主人公である龍馬の強みとは何であろうか。それは誰かの為に親身になれる事。誰かの思いにきっちりと向き合える事、それであろう。だからこそ誰かの心を惹きつける事が出来るし、魅了する事だって出来る。だがしかし。考えようによっては、それは諸刃の剣であると言えないだろうか?

 

だってあくまで彼は「恋人代行」である。ホンモノの恋人ではなく、ニセモノの恋人同士。お金と時間だけで繋がった、ドライであるべき関係である。

 

故に彼は、「恋人代行」に向いているし向いていない。そんな事実を突き付けてくるのは新ヒロイン。龍馬の姉であるカヤの上司、葉月(表紙)である。

 

大人には泥酔したい時だってある。その欲求に基づき泥酔してしまい、道端で力尽きた彼女。そんな彼女に出会った龍馬は、いつもの気遣いを発揮し、通行人に絡まれないように女性運転手を指名しタクシーを呼び、彼女を家まで送り届ける。

 

普通であれば、それで終わりかもしれない一期一会の関係。だが、何の因果か彼女は龍馬の上司である千秋と言わばビジネスパートナーのような存在であり。まるで何かに引き寄せられるかのように、恋人代行サービスの場で二人は再会してしまったのだ。

 

「お仕事いつもお疲れさまです。でも、今は自分と遊んでるんですからつらいことは忘れてください。自分がリードできるように頑張りますので」

 

「だから斯波くんはそのままの性格でいてちょうだいね。その方が喜ばれるから」

 

葉月に誘われ訪れた大人のバー。時にくぎを刺され、時にたしなめられたりしながら。龍馬はまるでワンコのように葉月に寄り添い、ベテラン代行者キラーとまで呼ばれた葉月の心を溶かしていく。

 

 

「二時間早いけど・・・・・・メリークリスマス。姫乃の漫画が上手くいくようにこれからも祈ってるから」

 

葉月でこれなら、既に関係を積み重ねた姫乃に対して出せる甘さがこれだけである筈もなく。打ち解け、分かり合ったからこそもっと近い距離で。姫乃の心に入り込み、擽るかのように。彼女に取ってもっとも欲しかったものを、龍馬は彼女の心に届ける。

 

 そんな思いを示され、姫乃が本当の恋心を抱かぬ訳もなく。けれどそれは、禁忌の思い。恋人代行、という立場では決して踏み込んではいけぬ心の距離。

 

それもまた仕方のない事かもしれない。彼はまだまだ未熟であり新人。若いからこそ、自分の全てを必死に律しようとしても、律せる事は難しい。

 

そんな彼に迫る、二つの危機。波乱の聖夜の先、巡り来る年はどうなってしまうのか。

 

前巻を楽しまれた読者様、もどかしくてどこか切ないラブコメが好きという読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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