読書感想:やがてラブコメに至る暗殺者2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:やがてラブコメに至る暗殺者 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 

 さて、前巻を読まれている読者様がこの巻の感想を開かれている、と仮定の下でここからは、前巻までの内容に一部触れながら感想を書いていく訳であるが。前巻、主人公であるシノもまた、本物の影武者であるという事実が判明し、エマとの関係も偽りの恋人、という方向でまた歩き出したわけであるが。 コードネーム「太陽」として仲間になったエマであるが、シノ達のチームについていける、と画面の前の読者の皆様は思われるであろうか。

 

 

 

その答えを先に言ってしまうと、そう簡単について来れるわけがない。それもまた当たり前かもしれない。何せシノ達は戦闘訓練も受けたプロフェッショナルのチームであるが、エマは自分の目的の為だけに一点特化した技術を身に着けたようなもの。 その技術が役に立たぬ以上、そう簡単には役に立てぬのである。

 

「ねぇ、エマさん。私達で頑張ってみない?」

 

 

その点においては、妹であるチヨも似たようなもの。情報戦こそ彼女の領分、本分であるがその他戦闘においては、一歩劣る。 デート、に見せかけた任務で結局何も知らされず巻き込まれ、仲直りの為に日本でも一番有名なテーマパークでのデートに行けば、仲間の遺した情報を探る為、という裏の目的を知らされず。 やっぱり普通の男の子としてはズレてはいるものの、スパイとして過保護に溺愛されている。 だからこそ疎外感を感じる二人が、手を組んで任務の裏で動き出す。

 

舞台となるのは、チェスに似たゲームの大会。標的となるのは、光郷グループの四女であり、ゲーム事業の責任者であるマオ。手に入れた情報から罠であると疑われる任務の中、シノ達に先んじてマオに接触する事に成功するも、自分達の正体を感づいていた彼女から来てはいけない、と忠告され。 それでも、放っておけない。シノと殺し合いをさせたくない、と事前にぶつかり合いの道を回避すべく奔走する。

 

「大丈夫だ。すでに、事情は全てシノに伝えてある」

 

舞台裏、蠢くのは生きていた今回の黒幕の卑劣な手。しかし黒幕も予想外であったであろう。エマとチヨ、警戒していなかったであろう二人が最善の結果を引き寄せるきっかけとなる事を。 シノ達の想像を超え、掴み取って見せたその成果。それは、大きな仲間を手に入れる予想外の一歩の導きとなるのである。

 

やっぱり今回も騙される、どんでん返しの面白さが一歩深まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: やがてラブコメに至る暗殺者2 (電撃文庫) : 駱駝, 塩かずのこ: 本