読書感想:全力回避フラグちゃん!4

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:全力回避フラグちゃん!3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、一応いいところはあるけれど大概の部分は下種であるモブ男とそんな彼に恋をしながらも、死神として少しずつ成長を続ける我らがフラグちゃん、であるが。前巻で暗躍を始めた死神№1が今巻は動きを見せないか、と言われるとそういう訳ではない、というのは画面の前の読者の皆様も何となくお察しであろう。そう、一度勢いがついて動き出したのならばそう簡単には止まらないのである。

 

 

『これよりあなた方には、私の目的のため、フラグを回収していただきます』

 

フラグ回収の特訓後、何者かから差し入れされた数々のフラグちゃん達の好物たち。それを食べた所、急に彼女達は眠気に襲われ。目覚めた彼女達の意識は、誰もいないショッピングモールの一角にある映画館。その入り口のモニターに映し出されたのは、神様を人質に取った「監督」と名乗る謎の怪人。仮想世界を壊す、という脅しには逆らえず、彼女達は怪人の望みに従い、それぞれの映写室ごとに作られた世界へと飛び込んでいく事となる。

 

時にはモブ男がアメリカの刑務所に入る事になってしまったり、更には生きたまま埋葬される事となったり。時には現代SFの世界でスマホになったり、摩擦係数を操れるようになったモブ男によってラッキースケベな事態が巻き起こったり。相も変わらずドタバタな幾つもの世界の中、特訓の為ではなく怪人の目的のために、フラグを回収していく事となる。

 

 ・・・と、ここまで書いてきたわけであるが画面の前の読者の皆様、何かお気づきではないだろうか? 分からぬと言う読者様にヒントを一つ。フラグちゃんに逆恨みを抱く者、としてはどうも打ってくる手が迂遠にすぎないだろうか? そう、「監督」と名乗ったのも訳がある。では怪人の目的、というのももうお分かりではないだろうか?

 

言ってしまえばミスリード、本当の黒幕は他にいる。しかしそれは死神№1でも、無論神様でもない。その黒幕はいつも、仮想世界の中にいたのだ。正体を現した黒幕の思惑による一度きりの劇が幕を開け。当然ハチャメチャになる中を時にアドリブで乗り切りながらも、何とか事態を解決に導いていく。

 

「たとえ、あなたにどんな『バグ』があろうと、必ず私が助けます」

 

だがしかし、これもまた忘れてはいけない。そもそも問題は何も解決していない事を。黒幕の思惑を壊した事で、いよいよ彼女の悪意が牙を剥く。それは本当に、崩壊への第一歩であるという事を。

 

ドタバタの前哨戦、更なる波乱の呼び水となる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 全力回避フラグちゃん!4 (MF文庫J) : 壱日千次, さとうぽて, Plott, biki: 本