読書感想:友人に500円貸したら借金のカタに妹をよこしてきたのだけれど、俺は一体どうすればいいんだろう2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:友人に500円貸したら借金のカタに妹をよこしてきたのだけれど、俺は一体どうすればいいんだろう - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、命短し恋せよ乙女、恋は猪突猛進、大好きな人には真正面からぶち当たる。そんなぐいぐい来る朱莉のアプローチ、の可愛らしさは前巻を読まれた読者様であればもうお分かりいただけているであろう。しかも季節は夏休み。正に今この時にしかない二人きりの時間。勝負の季節であればより恋心というのは燃え上がるものである。

 

 

が、しかし。これもまた忘れてはいけない。朱莉は受験生であり、受験生にとっては夏休みこそ勝負であると言う事を。故に彼女は夢の為には勉強も恋も取らねばならないのである。

 

求のバイト先で相変わらず勉強に励んだり。夕立で干していた布団がダメになり、これ幸いとばかりに求を説得して同衾まで持ち込んだり。今日も朱莉は全力全開、恋も勉強も邁進していた。

 

 そんな彼女と彼の元、オープンキャンパスの名目で一人の少女がやってくる。その名はみのり。朱莉の良き相談相手である「りっちゃん」であり、求とは同じ中学で部活も同じな、いわば兄妹めいた関係だった少女である。

 

まるで熱帯夜のようにするりと入り込んできてかき乱す。兄妹のよう、というには非常に近く見える距離感に朱莉はやきもきし。彼女の心を知ってか知らずか、まるで刺激するかのようにみのりは振る舞う。

 

 そんな彼女も交えてオープンキャンパスに出向き、みのりに触発された朱莉が育ってみせると何故か求から唐揚げをせしめたり。免許を取って帰ってきた昴の提案により、朱莉やみのり、結愛も交えて泊りがけで海へ出かけたり。正に夏、今ここにしかない季節。勉強もいいけれどラブコメもね、と言わんばかりに夏を満喫する一同。

 

「私もせんぱ―――求さんのお嫁さんです‼」

 

そんな中、海で見つけた迷子の無邪気な一言に思わず対抗してしまったり。旅館でお酒の雰囲気で酔って、ちょっと大胆に求に迫ってしまったり。どんどんと、ぐいぐいと。朱莉は必死に求の心に向かって勇往邁進、すてみタックル的アプローチを繰り返していく。

 

そのアプローチは果たして、求の心に届いているのか。あの鈍感な彼が、簡単に心動かされるのか。

 

「こうして見てりゃ、これ以上なくお似合いなんだけどな」

 

 まだ思いは芽生えていない、とも言えない。彼女の事を知りたいと言う欲求は彼の心に確かに芽生えている。未来の約束を自然にするほどに、彼女が隣にいるのが自然となっている。彼女の手が、すごく落ち着く。今は未だ名前もない、彩もない花だけれど。彼の心の中、いつか色付くかもしれぬ思いの花は確かに咲き始めているのである。

 

残る時間はあと僅か、この関係はどうなるのか。

 

最後まで、その様子を見届けたい。切にそう願う次第である。

 

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