読書感想:一人暮らしを始めたら、姉の友人たちが家に泊まりに来るようになった1

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 さて、一人暮らしと言うものは頓に考える事と頭を悩ませること、自分でやらねばならぬ事が多く、面倒くさいものである。しかし、我々はいつまでも誰かに甘えている訳にもいかぬので、いつかは独り立ちの為に自立せねばならぬ。そういう意味においても、一人暮らしと言うものはいつの時にか、体験せねばいけないものである。しかし、一人暮らしというのは言うなれば一国一城の主になるようなものであり。誰にも邪魔されぬ自分だけの空間を手に入れられるのも確かなのである。

 

 

ではこの作品のように、部外者によりそんな空間が脅かされる事になってしまったら画面の前の読者の皆様はどうされるであろうか。私であれば容赦なくキレて追い出してしまうかもしれぬ。だがそれでは物語は始まらぬ。追い出さぬからこそ、物語は始まるのである。

 

小動物系であり年上の女性から可愛がられる少年、優斗。溺愛される日々が続く中、このままではいけぬと一念発起し、家族を説き伏せ高校入学を切っ掛けとし、彼は一人暮らしをする機会を得る事になる。

 

 が、しかし。その聖域は長くは続かなかった。優斗の事を心配した姉が友人である朱音(表紙)を連れて来訪し。彼の部屋を気に入った朱音が部屋に入り浸ってしまうようになったのである。

 

何故か彼の事を気に入った彼女に時にからかわれ、振り回され。更に姉の知り合い繋がりで、優斗は新たな年上女性との関りを得ていく。

 

料理を切っ掛けとし、料理研究会の一員である先輩、奏と出会い。男嫌いであるはずの彼女の琴線に何かが触れたのか、愛が重めな彼女に気に入られて朱音の魔の手から守ると言う名目で部屋に入り浸られ。

 

朱音と同じバイト先であるコンビニからの帰り、隣人でもあった、スポーツ万能だが生活能力壊滅系女子、伊吹と出会い。二日ぶりのまともな食事を彼女に振る舞い、何故か彼女の面倒を見る事になり。

 

 朱音とゲームをしたり、ひょんな事から皆でお泊り会をしたり。平穏の代わりに得た賑やかな日々の中、バイト中のトラブルを切っ掛けに、優斗は朱音の心に触れていく事となる。どこか小悪魔的な彼女が隠していた本心に、迫っていく事となる。

 

野良猫的な彼女が隠していた思い。その思いに触れようとして、だが朱音はその手を振り払おうとしてきて。

 

「僕は子供で、わがままだから。絶対に諦めません」

 

けれど、それでも。優斗は彼女の心に手を伸ばす。必死に彼女の心を受け止めようとする。それは自分の我儘。だとしても、彼女を放っておくわけにはいかぬと声をあげる。

 

その声が届き、朱音の心に響き。彼女の心の壁を突き崩した時、何かが始まる音が響く。決定的な変化の音が、静かに響く。

 

年上女性から甘々に愛され、そんな中で温かく熱い青臭さのあるこの作品。

 

いちゃ甘系ラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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