読書感想:友人に500円貸したら借金のカタに妹をよこしてきたのだけれど、俺は一体どうすればいいんだろう

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 さて、お金の貸し借りと言うものは時に人間関係を壊す一因となるかもしれないので、貸し借りには十分注意したいものである。画面の前の読者の皆様も誰かにお金を貸す際は、お金を返してもらえるという確証のある人を確実に見極めてもらいたいものである。

 

 

一体なんでこんな前置きになっているのかと言うと。詳しくはこの作品のタイトルを見ていただきたい、つまりはそういう事である。

 

「兄に言われ、借金のカタとして参じました。これからよろしくお願いいたします」

 

 大学に進学し初めての夏休み。あまりにも永い時間だけれど予定なし。そんな大学生である求の元を一人の少女が訪ねてくる。彼女の名は朱莉(表紙)。求の高校以来の友人である昴の妹であり、あくまでも友人の妹なだけの彼女。そんな彼女は借金のカタとしてきたと言う。一体昴は何円借りてしまったのか。

 

答えは朱莉の手の中を見てもらいたい。そう、五百円である。大学生からすれば何とかやりくりすれば何とでもなりそうなコイン一枚。

 

「これはもう決定事項であり、天地がひっくり返っても覆りません!」

 

「俺に意見する権利は―――」

 

「ありませんっ!!」

 

だが、そんな一枚を兄が返すまでモノになると宣言し。どう考えても非常識な論理でぐいぐいと押し込んできて。気が付けば彼女の荷物もやってきて、one roomでの同棲生活は幕を開ける。

 

 一体なぜこんな事になっているのか? それはもう、画面の前の読者の皆様もお気づきであろう。何を隠そう、朱莉は求の事を好いている。そして恋人になりたいと願っている。だからこそ、兄も巻き込みこんな無茶な作戦を立てたのである。

 

勝負となるのは一か月。だけど、負けたくない。誰よりもあなたのそばにいたい、輝いていたいと。

 

命短し恋せよ乙女とでも言うかのように。

 

ポケモンで言う所だと、とくせいがいしあたまでもないけど技がとっしんとすてみタックルしか覚えていないかのように。

 

急に始まった同棲生活、突然始まる非日常。

 

そんな日々の中、彼女に手料理を振る舞って貰ったり、一緒に運動して密着したり。時にバイト先にやってきた彼女が倒れて看病したり。

 

「・・・・・・うん。すごく美味しい。たぶん、これまで食べてきた中で一番」

 

 そんな日々の中、求の心の中に名もなき気持ちが芽生えていく。彼女が隣にいる事が心地よくなっていく、隣に彼女の心の居場所がいつの間にか出来ていくのだ。

 

猪突猛進、恋に全力全開、勇往邁進。そんな女の子は輝いている。ヒロインとして、誰にも負けぬ光を持っている。

 

そんな女の子がヒロインであるからこそ、この作品は悦いのである。見逃せぬ面白さを持っているのである。

 

だからこそ私は今、この作品の続きをもっと読みたいと思っているのである。

 

恋する少女が好きな読者様、甘酸っぱい青春が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

友人に500円貸したら借金のカタに妹をよこしてきたのだけれど、俺は一体どうすればいいんだろう (ファミ通文庫) | としぞう, 雪子 |本 | 通販 | Amazon