読書感想:ホラー女優が天才子役に転生しました2 ~今度こそハリウッドを目指します!~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ホラー女優が天才子役に転生しました ~今度こそハリウッドを目指します!~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でまぁ物凄くとんでもない、引き込まれる面白さを醸し出してきたこの作品。鶫という大物ホラー女優だった前世の記憶が目覚めたつぐみ。彼女という正にダイヤの原石に努力に裏打ちされた才能が加わればどうなるか。その恐るべき片鱗は、前巻でも既に示されていた事は前巻を読まれた画面の前の読者の皆様は既にご存じであろう。

 

 だがしかし、彼女というとんでもない才能と努力の塊は、否が応でも周囲に影響を与えてしまう。それは今も昔も変わらない。変わらなかった。

 

 そして、彼女という「才能」に今、一番の至近距離で触れている三人の少女。凛、珠里阿、美海。彼女達が抱える大切な人達とのすれ違いが生み出す屈折、彼女達が抱える未来への可能性。そこに触れていくのが今巻なのである。

 

「―――なんで、死んじゃったの・・・・・・鶫さん」

 

珠里阿の母親、早月。鶫の後釜として押し付けられた役どころに押し潰されそうになり、それでも自分を対等の役者として愛してくれた彼女にお詫びすらも出来なくて。せめて珠里阿に夢を託さんと、己の価値を押し付ける彼女。

 

その重荷に押し潰されそうになり、心壊れ絶望に囚われる珠里阿を救うのは何か。それはつぐみの演劇。絶望すらも演技の絶望で飲み込み塗り替え、知らぬ間に心を別の方向へ向き合わせる魔性の演技。

 

「なら、いっしょに死のう? じゅりあちゃん」

 

「ありがとう、みみちゃん―――だいすきだよ」

 

その演技は、彼女の心の中でまだ息づく鶫の心との合作。今は未だ二人、二人で一人だからこその魂が導き出す渾身の演技。

 

 その演技は、かつて鶫に憧れた者達の心に届き、新たな感情を呼び起こす。そう、鶫という名女優は確かに愛されていた。そしてその死は、彼女を愛する者達の心に呪いのように食い込み、その心根すら知らぬうちに歪めてしまっていたのである。

 

鶫に救われ、彼女の事をこれでもかと愛し、彼女が遺した言葉に縋って生きてきた桜架。

 

鶫であれば、CGなしでも空くらい飛べると豪語する彼女。彼女は凜を鶫の再来の器として見出し、後継としての育成の階に手をかける。

 

 ここまで読まれてきた画面の前の読者の皆様であればもうお分かりだろう。どこまでも大きいのである、鶫という女優が遺した思いと奪っていった心は。

 

「わたし、たのしくなってきちゃいました」

 

だが、そんな大人の重いひめゴトは今は未だ大人達の心の中。

 

それを知らず、つぐみは更なる覚醒と飛躍を遂げる。あの日のかつての自分、その才は今確かにここにある、と。

 

ドラマに大きな役どころとして関り世間に我ありと知らしめ、バラエティで諸人を魅了し、更にCM撮影で新たなムーヴメントを巻き起こす。

 

今まさにその才を見せつけ、諸人を魅了し影響の嵐を巻き起こしながら、自分もまた新たなる飛躍の先の舞台へ。

 

前巻を楽しまれた読者様、是非心して読んでほしい。皆で作り上げる舞台の面白さが光るこの作品、本番のお楽しみはきっとここからだから。

 

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