読書感想:好きな子にフラれたが、後輩女子から「先輩、私じゃダメですか……?」と言われた件2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:好きな子にフラれたが、後輩女子から「先輩、私じゃダメですか……?」と言われた件 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、今巻の感想を早速書いていきたい次第であるが、その前に私は、最後までこの感想を読んでいただけた画面の前の読者の皆様をがっかりさせぬ為にも、最初に残念なお知らせをしておきたいと思う。それはこの作品が、今巻で打ち切りと言う事である。また一つ、面白き作品が道半ばで道を断たれてしまうのは残念な限りである。この作品は確かに遠回りはしていたかもしれぬが、それでもきちんとした面白さはあった筈なので。

 

 

恋する女の子は恐ろしい、とても一途で狡猾である。彩乃はやきもきとしながらきちんと思いを告げ、鳴海の心を略奪すべく策略を巡らせる。恋人の練習と称し実質的な二股状態を維持しておきながら、自分へと恋心を向かせようと策謀を巡らせていく。

 

 だがしかし、楓の正式加入から夏の動き出しへ向けて準備を重ねる「ラビットハウス」に一つ、問題が持ち上がる。それは、女優の不足。彼等の作品には、楓にも匹敵する女優がもう一人、どうしても必要だったのである。

 

そんな彼等の前に現れたのは、現役女子高生女優である澪。鳴海がバタバタしていた時期に転校してきた、押しも押されぬ本物の女優。しかし、何故か彼女は今、息をひそめていた。まるでモブキャラのように、陰キャラのように一人で孤独に佇んでいた。

 

 それは何故か。何故ならば、マスコミの心無き記事と誤解からスキャンダルに晒され心を折られてしまったから。女優としても致命的な事態で引退の危機に晒されてしまっているから。

 

それでも、彼女が欲しい。彼女の演技に惚れこんでいるから、もう一人のヒロインは絶対に彼女でなければありえない。だからこそ、鳴海は奔走する。彩乃のアドバイスを聞きながら接点を持ち、彼女の出した条件をかなえるために準備を整え。所属事務所の人間である「彼女達」の元まで直談判に出向き、自分にスキャンダルの疑惑の火の粉がかかろうとも全力を尽くす。

 

「好きなの・・・・・・本当は、全部諦めたくない」

 

 その努力が、そのひたむきさが、その熱が。折れて闇に沈んでいた澪の心を立ち直らせていく。彼女の中、闇に覆われても残り消えなかった、情熱の残り火に再び火をともしていく。好きだからこそ、諦めたくない。今こそ、過去を越える時。鳴海の言葉と態度に背を押され。今、澪は再び舞台へと駆け上がっていく。

 

「鳴海先輩はいずれ私を好きになる」

 

澪という新たな好敵手の想定外の参戦、それでも諦めぬ。きっとここからが本当の始まり、の筈だった。

 

だがしかし、この作品は面白い。私はそれだけは断言したい次第である。

 

好きな子にフラれたが、後輩女子から「先輩、私じゃダメですか……?」と言われた件2 (GA文庫) | 柚本悠斗, にゅむ |本 | 通販 | Amazon