読書感想:痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった5

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前巻感想はこちら↓

読書感想:痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の感想の最後で私は、このヒキで終わられるのは地獄であると語ったと思う。その続きから始まる今巻では、一体どんな展開が待ち受けているのか。それは今から語っていくが、これだけは最初に言っておこう。今巻のヒキもまた、地獄である。とんでもない爆弾が投げ込まれる、と。

 

 

オーディションに落ちてしまった姫奈が何処か元気をなくし。どこか諒にも近寄れぬまま、少しだけ離れてしまった距離。

 

そんな彼女との距離の裏腹、姫奈を主役にした自主製作映画の撮影はどんどんと進み、夏休みが終わり往く中で撮影も徐々に、終わりを迎えていく。

 

ではそんな終わり往く夏の中、諒に接近するのは誰か。それは静香であり、藍である。今まで姫奈という強力な光の影に隠れていたけれど、前巻から少しずつ芽を出し始めた恋心の芽である。

 

頼まれて引き受けた、藍に密着取材する依頼。カメラを彼女だけに向ける中で見つめていく、演技者としての彼女の顔。今まで自分があまり見てこなかった、彼女の知らぬ顔。

 

脚本を手伝ってくれる静香が抱える事情。今まで何処か、遠い距離だった彼女の子供っぽい素顔。今まで知らなかった、年相応の顔。

 

夏が終わり往く中、向き合う彼女達の心。一対一で向き合う彼女達の素顔と心、そこで生まれていく変化の芽は芽吹き、それぞれの関係に変化の波紋を投げかけていく。

 

 では、そんな彼女達と比較して、この作品のメインヒロインである姫奈は何もしないのか。それは否、という他ない。自らへ向けられた想いへ鈍感だけれど、彼女達の抱える問題へと向き合わぬ諒ではないから。

 

「こういうことがしたかったの?」

 

「わたしなりに、色々考えてるもん・・・・・・」

 

夏祭りの前日、そして本番。二人きりの密着した距離で。本音をさらけ出しぶつかり合い、改めて心と心を向かい合わせて。

 

「諒くんが作る映画には、わたしが常に出るんだね」

 

そして彼と向かい合い、姫奈は立ち上がり前を向く。彼女が起こした心の波紋は、諒の心に変化の予感を齎していく。

 

ここで終わっていれば、今まで通りだったかもしれない。今まで通り、一歩ずつ進む丁寧なラブコメであったのかもしれない。

 

だが、投げかけられる特大の爆弾がそれを赦しはしない。唐突に明かされた、姫奈の母親の真実が、新たなる波乱の予感を連れてくる。

 

果たして、衝撃の真実の先にどんな続きが待っているのか。

 

期待せずにはいられない次第である。

 

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