読書感想:夢見る男子は現実主義者 3

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前巻感想はこちら↓

読書感想:夢見る男子は現実主義者2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、作中の時間は進み夏休みである。夏休みと言えば海、プール、夏祭り。様々なイベントの宝庫であり、ラブコメにとっては違和感なく様々なイベントを起こせる、恋人同士であれば絆を深めるのに大切な季節である事は、画面の前の読者の皆様にとっても想像に難くない筈である。

 

だがしかし。もうお分かりであると思うが念の為にお伝えしておくと、この作品の主人公である渉と愛華はまだ付き合っていない。それどころかその恋は一度終わっている。ならばどうなるのか。その答えは、簡単に言うなれば離ればなれの季節である。

 

夏休みにも関わらず古本屋でのバイトに明け暮れ、それどころか生徒会副会長の姉に勧められ、中学生の学校案内に顔を出したり。八面六臂、縦横無尽、東西奔走。そんな言葉がぴったりとあてはまるかのように、あちらこちらへと時間が足りぬとばかりに駆け回る渉。

 

駆け回る中、その中では三枚目に構えている暇もなく。結果的に有能ぶりをあちこちで示しながら駆け回る中、渉は様々なフラグを積み重ねていく。

 

学校案内に顔を出したと思ったら、前巻でもちらりと顔を見せた謎の少女、風香と再会したり。

 

古本屋のバイトの中では、級友であり隣の席の一ノ瀬さんが応募してきて、先輩として色々教え助けたりする中、距離が少しだけ近づいたり。

 

「・・・・・・・・・ばか」

 

が、そんな渉の状況が面白くない少女がここに一人。何を隠そう、この作品のヒロインである愛華である。

 

自分の想いはまだ分からず。だけど彼の周りに女の子がいるのはなんだかもやもやして。

 

「せっかく久しぶりに会ったのにっ・・・・・・さみしいじゃない・・・・・・」

 

離ればなれとすれ違い、その中で思わず本心が零れたり。

 

「うん、また後でね」

 

彼に会えた帰り道、自然と笑顔がこぼれたり。そんな彼女の心の中、リフレインされるのはかつての記憶。出会って、今までの彼と過ごした時間。

 

確かに始まりはうざかったかもしれない。だけどいつの間にか、心の大切な所に彼との時間があった。だけどその時間が今は、どこか遠くに行ってしまった。

 

自分の今まで、そして心の奥底、気付けなかった本当の気持ち。ようやっとそこへ向き合いだしたのなら、それはきっと、何かが変わり始める合図。

 

ここからきっと始まる、もう一度始める二人のラブコメが。

 

前巻を楽しまれた読者様、丁寧に積み上げていくラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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