読書感想:親が再婚。恋人が俺を「おにぃちゃん」と呼ぶようになった2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:親が再婚。恋人が俺を「おにぃちゃん」と呼ぶようになった 1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様はこの作品が青春フルスロットル、義理の兄妹という立場を偽りながらもバレない所では恋人同士としていちゃいちゃするというラブコメであると言うのはご存じであろう。しかし大貴と寧々花は「恋人」であり「兄妹」でもある。つまりそれはどういう事であるのか、というと二つの立場の狭間で揺れると言う事に他ならぬ。そして揺れ惑って自分なりに動くと言うのはどういう事か。恋人と言うものは一人でできるものではない。つまりはすれ違いを招いてしまうと言う事である。

 

 

「今日は思いっきり恋人タイムを楽しめるね!」

 

両親に仮定と言う形でこっそり聞いてみた、もし二人が恋人同士となったのならばという質問。その質問に帰ってきたのは、二人にとっても望まない、別居と言う答え。 親を悲しませない為、何より離ればなれとならぬ為に。引き続き隠し通すことを決めた二人は、待ちに待った夏休みの時を迎える。

 

 受験生であるため勉強も大切であるも、恋人としての時間も大切。折しも両親は新婚旅行で一晩不在。何かが燃え上がろうとしていく中、バレないように訪れた大型プールで兄妹に間違われた事で。寧々花は二つの立場の狭間で思い悩み、親友のアドバイスを受けて、大貴の欲望を満たそうと限界ギリギリのアプローチを仕掛けてくる。

 

だがそれは、心の中の天使の寧々花と悪魔の寧々花に振り回される大貴の内心を見ていない、と言ってもいい。それは自分の心の中だけしか見ていないと言う事。全部彼女の独り相撲であると気付かずに空回っていたという事。

 

「お互いの気持ちをちゃんと話さない?」

 

だからこそ、実力テストの結果の不振の為の恋人タイム期間を乗り越えた大貴ともう一度向き合わなければならない。きちんと向き合い、夏休みの間の行動を振り返って。思ってはいたけれど言えなかったことをきちんと伝えあい、縮められなかった隙間を埋めて、また一つ恋人同士として成長する。

 

「もちろん、バレないように気をつけるよ」

 

しかし、絆を深めると言う事は、更に寧々花の魅力にあてられていくという事に他ならない。そして純粋無垢であるが故に無敵である寧々花の魅力にあてられるというのはどういう事か。それは更に欲望を刺激していく事に他ならず。更に禁欲の壁を打ち崩そうと、がんがんと攻められると言う事である。

 

まだまだアクセルベタ踏みで突き進む、弾けるようなラブコメである今作品。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。