前巻感想はこちら↓
読書雑記:モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で勘違いと誤解から始まったマルスの魔王的覇道。気が付けば彼の周りを囲むのは狂信者と崇拝者ばかり、故に誰もストッパーがいやしない、というまぁコメディに突き進むなら最善であろう状況が形成された訳であるが。果たして今巻では、その勘違いを正してくれる者が現れるのか、というと。残念ながらそういう方向性にはならぬのである。
寧ろそれどころか、ファルーンから始まった戦乱の風は、大きく広がっていく。前巻よりも時間の推移が早くなっていく中、更にファルーンの勢力が増していくのが今巻なのだ。
「頭おかしいんじゃないの? どうかしているわ!」
前巻の最後に登場したドルセンの五天位の第三位、カーミラ(表紙)。元々は王女であったが誰にも制御できぬ我儘な鬼札になってしまったために五天位に押し込められていた彼女は、自らの実力ならばファルーンが奪えると考え来襲するも。ハンドレッド第四位、現剣術指南役のヤマトとの戦いに負け囚われの身となる。
「いえ、陛下が娶られればいいのです」
そんな彼女をヤマトは鍛えたいと言い、ガマラスは国の利益を考え彼女を娶るべきと提案、更にはカーミラが正妃の座をかけてフラウに勝負を挑み。気が付けば彼の意思を無視し、何故か彼女を娶る方向性に話が進んでいたのだ。
フラウとカーミラの決闘は、フラウの戦術級魔法により彼女の勝ちに終わり、カーミラは第二妃におさまり。早速モンスターの肉に身体を慣らす事から始め、魔獣の森への置き去りという訓練に発展し。最初は跳ねっ帰りだった彼女も心を散々におられ、今までの環境と比べたら地獄な環境で少しずつ、性格が矯正され実力もついていく。
そんな事態から一年、カーミラの提案によりモンスターの肉の料理が提案され、結局生肉最高と言う事にはなるも新たな食文化の創設になったり。モンスターの肉が精の方も増強させていたので夜の相手がつらい彼女により、新たな妃を増やす為の武闘会を開くことになったら、最強の子供を作りたい師匠、カサンドラが十年ぶりに現れて圧倒的な実力で妃になったり。フラウとの間に一人、カーミラとの間に一人王子が誕生し家族も増える中、次の面倒な事態が巻き起こる。
それは、ドルセンにおける政変。普通の料理が食べたくてドルセンの王都に潜入したら政変真っただ中に遭遇し、王を助けたらその死に目に、王位の証である指輪をカーミラの結婚祝いとして託されて。
「ドルセンを陛下の手に! これは正当な戦いなのです!」
だがその指輪が新たな勘違いを招く。これが大義名分として誤解され、ドルセンを取り戻すための戦いが巻き起こり。二年前にも増して戦力を増したファルーンの面々により、敵軍はあえなく蹂躙されていくのである。
前巻にも増してドタバタ、更に勘違い高まっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 2 (GCN文庫 タ 01-02) | 駄犬, 芝 |本 | 通販 | Amazon