読書感想:モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件3

 

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読書感想:モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で図らずもドルセンを手中に収め、世界統一への第一歩を、本人の望む所でもないのに踏み出してしまった我らが主人公、我らが狂王、マルスであるが。さて彼等に足りぬものとは何であろうか、とここで考えてみよう。兵力は勿論足りている。政治力も、まぁ問題はない。では何が足りぬかというと、それは求心力ではないだろうか。 力こそ全て、それは全ての人に受け入れられるものではないだろう。

 

 

つまり、もっと万人に受け入れられる求心力が必要とも言えて。その力が図らずとも転がり込んでくるのが今巻なのだ。

 

「我々はあなたが来るのをずっとお待ちしておりました!」

 

カサンドラとの間に初めての娘であるヒルダが生まれ、シーラから聞いた「ヤキニク」という名の料理を求めバルカンへ出向いたら、何故か出来ていたハンドレッド支部なる物に出会い、構成員に稽古をつけたり。何だかげんなりしてしまう事もある中、今巻での波乱は始まる。

 

「潰そう?」

 

大陸一の宗教、マーヴェ教。かの宗教が新たに打ち出した教義三項目。モンスターの肉を食べる事禁止、モンスターの大規模な使役の禁止、貴族の身分の保護。敵対すれば面倒な事にはなる事は決定だが、ニコルやカーミラ、フラウが提案してきたのは戦争か内部工作かの争う方面のみ。一先ず交渉するために教国へお邪魔するも、連れて行ったフラウやオグマ達ハンドレッドの実力者達のせいで結局恫喝的な事になり。罰則無しの条件は引き出し、今ファルーンにはいない司教を迎える為、マルス自身で選ぶことに。しかしこれが、新たな波乱の引き金。

 

「神は些末なことに手を差し伸べられないのです」

 

それは聖女候補であるも、聖女候補どまりなマリア(表紙)。彼女が内に秘めていたのは巨大なる出世欲。そしてマルスたちの手を借りず既に自身でモンスター肉を食する事に辿り着いており。渡りに船とばかりに、彼女が赴任してくる事になり。彼女はファルーンでそのレベルの高さを目撃し、早速行動を開始していく。

 

そんな彼等を誘拐、もしくは暗殺すべく各国から暗殺者が送り込まれるも、結果マルスを狙うもあっさり壊滅させられ。一年の準備を経て、聖戦という名目の元で各国の連合軍による対ファルーンの戦が始まる。

 

「まだできることはあります」

 

しかし、それはただの惨劇の幕開けに過ぎず。キエル魔道国はキーリの手により堕ち、バルカンはハンドレッド支部の者による政変が起き、王たちもフラウの魔法により纏めて殲滅され。更にはマリアが残る連合軍を嘘を交えて翻意させ、敵を他にすり替えてしまう。

 

それは正に、覇道への本格的な幕開け。しかし悲しきことに、マルスはそれに気が付いていないのだ。

 

よりドタバタ深まって、更に笑えてくる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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