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読書感想:手に入れた催眠アプリで夢のハーレム生活を送りたい3 - 読樹庵
さて、全年齢向け催眠もの、という中々見ないこの作品も、今巻で最終巻、大団円である。「相棒」と呼ぶ催眠アプリの力を使い、茉莉、絵夢、才華の抱える心の傷を解きほぐし、前巻では催眠アプリにも頼らぬ男気の発露を見せてくれた主人公、甲斐であるが。催眠アプリ曰く初めての事態である桃色の糸を生み出し、最早心配事はない、と言えるであろう。
それもまた必然、そもそもみょん先生の作品でそんな酷い事にはならないので。という訳で今巻は、催眠アプリからの卒業を果たし、幸せな未来へ進んでいく、という訳である。
「・・・・・・素の茉莉たちとこういうことがしてみたいよな」
今日も今日とて、催眠アプリを用い三人とエロい触れ合いをする日々、そんな中で甲斐の胸中によぎるのは、この催眠アプリを使わず、素の状態でこういうことをしてみたいという思い。だがそれは最早付き合う、という事と同義であり。今は、この関係を絶対に壊したくないと一先ずはその思いを置いておいて。
「俺・・・・・・みんなが好きなんだわ」
そんな中、訪れるのは夏休み。一日だけ家に一人きりな茉莉のお願いに応え、お泊りをしたり。家に遊びに来た絵夢にお兄ちゃんと呼ばれたり。才華とデートをしてみたり。幸せな日々の中、催眠中にふと呟くのは自分の思い。三人の事が好き、だから誰も選べない、という思い。だがそれは果たして、正しい事なのか、と思い悩む。
「いいんじゃないの?」
「私たちの彼氏になること」
その悩みに、背を押すのは姉である都。ほどなくし、ひょんな事から三人に催眠アプリの存在がバレてしまい。だが積み上げてきた絆と生まれていた好意が導く贖罪は、責任を取って三人の彼氏になる、という事。それでいいのか、と戸惑い、それでいい、と受け入れられ。催眠アプリに関係なく、三人と恋人同士になる事に。
「この先何かあった時、頼れる相棒が居たことを思い出して自分を励ますさ」
「そんなことをしなくても俺たちは大丈夫だ」
訪れるのは、催眠アプリなしでの恋人同士としての甘々な日々。だがその最中、不意に訪れるのは相棒、催眠アプリ消失の時。最後に思い出を作り、泣き顔ではなく笑顔で、きちんとお別れを告げて。相棒は最後の餞別、も出来ないけれど。未来は自分たちで作る、壁は乗り越えていくと宣言して。相棒は満ち足りて、去って行って。
「茉莉、才華、絵夢―――これからもよろしくな」
それから二年、大学に進学し、大人になりつつある中。催眠アプリ、相棒が居ない世界を四人で、幸せに歩いていくのである。
全てを収束させて大団円に導く今巻。最後まで皆様も是非。
Amazon.co.jp: 手に入れた催眠アプリで夢のハーレム生活を送りたい4 (角川スニーカー文庫) : みょん, マッパニナッタ: 本