読書雑記:モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件

 

 さて、皆様はMHこと、モンスターハンターシリーズをプレイされた事はあるであろうか。かのゲームにおいてはこんがり肉や定食、更には団子等の様々な食事が登場する訳であるが、あのゲームにおける肉っていったい何の肉なのであろうか。と、いう話はともかくファンタジー世界における肉は魔物の肉である事も多いのだが、実際魔物の肉はどんな味がするのであろうか。人類にとって身体に悪いものが入っていたり気がするのであるが。

 

 

と、まぁそんな前置きとこの作品のタイトルから察していただけたかと思うが、この作品において重要な要素として関わってくるのが魔物の肉、である。この作品における魔物の肉、は基本的に全て例外なく、量の差はあれど毒がある。なので人間が食えばよくて体調不良、悪くて死まっしぐらなのだ。

 

「おまえ、私の弟子になれ」

 

しかしこの作品の主人公、異世界の小国、ファルーン王国の第一王子、マルス(表紙上)は魔物を自分で狩りその肉を食らう。その理由とは、腹違いの弟を王位につけたい派閥により常に暗殺の危機に晒されているから。毒殺狙いは当たり前な日常の中、内緒で魔物を狩って食う彼。そんな彼に目を付けたのは流浪の最強、カサンドラ。自分と同じように魔物の肉を食っていたから、という理由で一方的に弟子にされ。デバフと言うか呪いを付与する装備品を付けながら訓練する、という日々を繰り広げ。師匠と別れ、森の奥の砦を根城にしていた荒くれ者達に訓練を申し込んだ事で。彼の激動の人生は気づかぬうちに始まる。

 

「肉を掲げろ!」

 

荒くれ者達に実力をわからせたことで崇拝され、彼等の組織、「ハンドレッド」の頭目、「ゼロス」として祭り上げられ。ハンドレッドの面々も魔物の肉を食う事になった事で王国中でも注目を集め始め。 マルスとの共倒れを狙い、彼を長として討伐軍を差し向ける事となった前日、ゼロスとして正体を明かしたら、反乱を起こす為にハンドレッドを組織していた、という勘違いを招き。

 

「私はマルス王子の味方になる」

 

更にはその場に、婚約者でもある最強魔術師、フラウ(表紙下)も現れ合流し。

 

「全軍に告げる。敵は王都にあり!」

 

今まで仲間のいなかった自分についてきてくれた仲間達を裏切る事も出来ず、結局反乱を起こすことになったら、彼とその旗下の者達による反乱はあっさりと成功し。彼が王となってしまう。

 

さて、狂信者達と崇拝者たちの勘違いにより王位についてしまったマルスであるが、そもそも彼が統治して大丈夫なのか、という事であるが。意外と何とか行き始める。その理由とは適材適所。 ハンドレッドの面々が貴族の面々を皆殺しにしてしまったので、暗殺計画の首謀者であった宰相、ガマラスに政治を投げたら、元々改革の志を持っていた彼による改革で、国がいい方向に進み始め。 更にはマルスの提言を勘違いしたガマラスにより闘技場による賭博が国家事業となり、更には彼の思惑を勘違いした面々と世界の悪戯的な間の良さで。いきなり大陸征服へ、舵取りが進んでしまう。

 

「さすがですね、ゼロス王! さあ、参りましょう!」

 

止めようとしても、結局止めきれず。最後はマルスが最前線で駆け抜ける事となるのである。周囲から恐れられる恐王、という誤解の通り屍の山を築き上げながら。

 

 

ブラックコメディー風味で、ドタバタが心に笑いを齎してくれるこの作品。妙な笑いをしてみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 (GCN文庫 タ 01-01) | 駄犬, 芝 |本 | 通販 | Amazon