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さて、前巻で始まった、ひと葉を取り巻く三人の少女たちからの関係性。だれがわたしの百合なのか、誰が「リリー」なのか。それはまだ分からぬけれど、確かなことはある。それは三人それぞれ、ひと葉と過去に何かあったのかもしれない、という事。今回はそんな一人、交友関係広すぎなギャル、鹿乃愛に焦点を当てていく巻である。
「・・・・・・・・・・・・だって、最近ひと葉が私のこと避けるから」
前巻、生徒会選挙も一段落、一先ずは新たな生徒会が発足するも、やっぱりひと葉は目立たず微妙であり。京の距離がより近くなったり、咲姫がひと葉の態度を怪しんだり。そんな中、やってくるのは夏休みに開かれるレクリエーション合宿。
「―――ひと子は正論パンチして人に疎まれる役回りでー、あたしはそれをうまいことフォローして株を上げる役ってことで」
「わたしが損しかしてないんだけど!?」
ひと葉と鹿乃愛はレクリエーションを考える係となり、ともに意見を出し合い考える中。何やら鹿乃愛は張り切っている様子。聞いてみれば、どうも合宿中に友達の恋を成就させたい、という願いがあるらしく。やってきたレクリエーション合宿本番、精力的に活動する鹿乃愛の凄さを近くで実感させられながら、彼女の願いは着々と進む。
「こんなことしてほしいなんて、私、頼んでない」
だがしかし、その相手はアシストを拒む、拒絶する。確かに仲良くなりたいとは望んだ、だけど手伝いなんて願ってない、と。結果的なおせっかい、それは傷を残す結果となって。
「―――あたしが、性格最悪クソ女だったってこと」
傷も癒えぬ中、判明するのは鹿乃愛の秘密。中学校までは全く違う、真反対のキャラだった、何処か全てを投げやりだったという過去。ひと葉と出会って、関わる中で変わっていった。ひと葉のおかげで今の自分がある、という事。
「―――少なくともわたしは、鹿乃愛を一人にはしないから」
なれば、ひと葉に出来る事は何だろう。それが素ではなく、今のキャラを演じていた彼女に出来る事は何だろう。その答えは一つ、受け止めてあげる事、肯定してあげる事。過去も今も知っている、ひと葉にしか出来ない事。 一人にはしない、と約束して立ち直らせて。
「―――『リリー』じゃなくても、よくない?」
だがしかし、鹿乃愛は「リリー」ではなかった。ならば残る一人、咲姫か、と疑うひと葉に鹿乃愛が伝えるのは、「リリー」という過去に囚われない選択肢。別に顔も見えぬ相手にこだわることはない、今の思いを、と。そして意味深に笑う咲姫が持ち掛けるのは、とあるお願いで。
より百合が深まる中、一つ選択肢が消える今巻。前巻を楽しまれた読者様はぜひ。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: だれがわたしの百合なのか!? (2) (ガガガ文庫 ガゆ 2-7) : 悠木 りん, 万冬 しま: 本