さて、先日投降したこのラノの感想でも少し触れたかもしれないが、現在のラノベ界のラブコメにおいては、ヒロインの主流は同級生な場合が増えてきている感じがする。そして少し前までの主流であった幼馴染ものは、少しずつその数を減らしてきているような気もする。ではこの作品はどうなのか。この作品は言うなれば幼馴染ものである。だがその始まりは同級生、もしくは女友達ものと言ってもいい。つまりは2つの面白さが、内在していると言ってもいい。
ではこの作品の作者様であられるネコクロ先生と言えば、画面の前の読者の皆様はどんなイメージを持たれているであろうか。先生の事を知っておられるのならば、主人公かヒロイン、または両方が何か事情を抱えている場合が多いと言うイメージが多いかもしれない。
だがこの作品はそんな事はない、それこそ驚くくらいに。真っ当に、真っ直ぐにラブコメしている作品なのである。
「―――幼馴染ほしいなぁ・・・・・・」
幼馴染である冬貴、女友達である春奈と夏実(表紙右)といつも4人一組で行動している、ごく普通の少年、秋人(表紙左)。何の代り映えもないある日、ふと昨日見たアニメの事を思いだした彼の何気ない呟きに夏実が思いっきり、挙動不審な反応を見せる。
「秋人に、告白された・・・・・・!」
かつて転校してしまった女の子の幼なじみ、その存在を回顧する彼の言葉に劇的な反応を見せ、冬貴を連れ出し興奮気味に語る夏実。何を隠そう、彼女こそがその幼馴染であり。春奈と冬貴を結び付ける協力を条件に、秋人に思い出してほしいと様々なアプローチを再会して1年、続けていたのである。
中々成果は見えないと思っていた、だが不意に聞けたのは彼の本心。今も尚幼馴染に思う所があると判断した彼女は、一気に攻勢を強めていく。
ご機嫌な様子であーんを繰り出したり、教科書を忘れたと言う名目で密着したり。更には秋人の実家である喫茶店にバイトの名目で潜り込んだり。
一気に攻勢を強めていく中、秋人は夏実のものであると認識している同級生たちに冷やかされたり。一瞬で幼馴染であると看破した秋人の母親ににやにやされたり。
夏休みも迫る中、夏実の態度の変化に戸惑う秋人。その思いは、夏実からの突然のキスにより気づきを得ていく。急速に自分の思いに気付いていく。
「だから、夏実の気持ちを聞かせてほしい」
夏実と過去にした約束は覚えていないけれど、それでも彼女のことが好きだと言う気持ちは、ここにある。だからこそその一歩は当たり前のように。そして二人の関係は落ち着くべき所に落ち着くのである。
真っ直ぐ直球ど真ん中にラブコメしているこの作品。王道で濃厚なラブコメを読みたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
「幼馴染みがほしい」と呟いたらよく一緒に遊ぶ女友達の様子が変になったんだが 1 (ブレイブ文庫 ね 01-02) | ネコクロ, 黒兎ゆう, 一二三書房 |本 | 通販 | Amazon