読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す7 ~ヘンダーソン氏の福音を~

 

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読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す6 ~ヘンダーソン氏の福音を~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で幼馴染であり最愛の相方であるマルギットと再会した我らが主人公にして愛すべきデータマンチ、エーリヒ。いよいよ彼等は共に、冒険の旅へと出立するわけであるが、画面の前の読者の皆様もそろそろお察しであろう。立場は新米でも、経験値は最早熟練の域であるエーリヒの冒険が、平穏に始まる筈もない事を。彼の冒険者ライフは新米で収まるものではないという事を。

 

 

やっぱり賽子の神と、運命の女神様はエーリヒの事が大好きであるらしい。それこそ可愛い我が子を千尋の谷へ突き落すくらいには。寧ろマルギットもいるから、もう少しいいよね、とでも言わんばかりにドタバタになるのが今巻からのお話なのである。

 

「私の後ろを守ってほしい。一緒に冒険者になってくれないか」

 

故郷である荘へと帰還し、とりあえず冬の間は休養に当てる事を選び。エーリヒの仕送りがいい方向に働き、兄たちが立身出世を果たしているのを確認したり、自警団の面々と乱取りをしたり。子供達にも懐かれながらも、やはり彼の心は冒険に向いている。約束を果たすためにもう一度マルギットを誘い、色よい返事を得て、母親であるコラレからも了承を得て。春も近くなり、いよいよ彼等は辺境の都市マルスハイムを目指して、旅に出る。

 

「貴方、昔から運が悪かったけど、ここまでとは思いませんでしたわ」

 

が、しかし。やはり道中はドタバタ、珍道中になるのは明白であった。旅立って10日の間に7回も野党の襲撃に遭い、何とか辺境に向かう隊商を見つけて護衛という形で同道し。

 

マルスハイムへと到着して早々、有名な氏族の一つであるロランス組に目を付けられ。当目であるロランスとぶつかり合い力を示し、初めて知り合った冒険者であるヘンゼルの紹介で聖者フィデリオの元へ辿り着き。彼を冒険者の師匠として、まずは簡単な依頼から始める冒険者生活が幕を開ける。

 

けれどそんな日々の中、すぐに波乱が巻き起こる。粗暴な者が多い冒険者の中ではまるで貴族のように物腰柔らかな態度、そして新米とも思えぬ腕っぷし。マルギットと共にエーリヒの名がどんどんと上がっていく中、目を付けられていく。流民の集団、「漂流者協定団」に目を付けられ、マルギット共々嫌がらせに晒されていく。

 

そんな事が続けば、煩わしさは高まっていくもの。エーリヒ一人であれば、もしかしたら怒りのままに暴れて全てを終わらせていたかもしれない。だが今はマルギットという相方がいる。自分を理性に繋ぎ止めてくれる鎹があるからこそ、穏当に、しかし徹底的に対処していく。ロランス組達他の氏族までも巻き込んで。

 

「あら、堪え性がウリの狩人に失礼なことを仰るのね」

 

全て解決した先、得るのは相方の笑顔という何よりの報酬。それは今までは選べなかったものである。

 

新たな章が始まり、マルギットが一緒だからこその面白さの始まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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