読書感想:ミミクリー・ガールズ II

 

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読書感想:ミミクリー・ガールズ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、クリスティやマーリンはすちゃらかなノリでドタバタ、和気あいあいとしている訳であるが、忘れてはいけない。その中身はタバコと酒と硝煙の似合うであろうおっさんであるという事を。そんな彼等は、こんな体でも任務に向かう。時に幼女を偽りながら、大人として。そんな彼等のオトナの渋さが垣間見えるのが今巻なのである。

 

 

『―――次の舞台は日本よ』

 

前巻の任務の後、一時の休暇を得、少佐へと昇進したクリスティはメアリーから任務を受け、五輪の開催が迫っている日本へと向かう事となる。リアルタイムで繋がっているタブレット端末(爆薬入り)を片手に向かった、京都の料亭。そこで待っていたのは新たなデザイナーズチャイルド達。

 

日本の為政者であるカグヤ。ロシアが三つに分割されたうちの一つである極東連邦の双子、ストレルカとベルカ。カグヤが依頼してきたのは、日本と極東連邦が合同で開催する、冬季札幌五輪の記念セレモニーでテロが画策されているというもの。しかしたった四人で広大な北海道を全部カバーする、というのも無理があり。会談は含みを持たせながらも終わる。

 

メアリーからの次の指示、それは不穏な動きのあるらしい極東連邦の動きを掴む為にストレルカとベルカと仲良くなれというもので。マーリンの提案により北海道観光をする事になり、その前に懸垂下降で窓越しに話を聞く事となり。何やら秘密の計画らしきものを聞き出した途端、懸垂下降に使ったロープが切れかけ謎の少女の部屋に突入する事になってしまったり。

 

 迎える北海道観光の中、近づく距離。だがそこへ接触してきた英国のスパイ、JBは襲撃の候補地は三か所あると教えてくれる。そしてその予言通り、セレモニーの場である競技場はテロに見舞われ。すぐ近くにいた内通者の手により、ストレルカが傷つけられてしまう。

 

「で、俺達はそれでいいのか?」

 

明らかになる政治的な陰謀、其処に巻き込まれた少女達。自分達が本来ならばやるべきことは帰投して次の命令を待つ事。だが、それでいいのか? 大人としてそれで良いのか? そんな訳はない。やるべきことは只一つ、ならばあとはテイクイットイージー。全部まとめてぶっ飛ばす、それだけだ。

 

敵となるのは、通信を司るデータセンターを狙う、陸上戦艦。そこへ国軍から横流しされた戦車と無人戦車を従え、パンツァーフォーと言わんばかりにドンパチを繰り広げ。

 

更にはエネルギープラントへ突っ込まんとする貨物船へと潜入し、大立ち回りを繰り広げる。

 

「単純でいいじゃねぇか」

 

「―――私の部隊は強いわよ?」

 

 大人顔負けの大活躍を繰り広げる、それはひとえに守るべき者の為。だが彼等の前に立ち塞がるのは「戦争屋」を名乗る謎の組織。その中には、クリスティと同じ顔を持つ少女も存在していた。

 

一輝に謎が展開し世界は大きく広がって、新たな戦いの予感が風となり。

 

そんな中、細かい事は良いんだよと言わんばかりに大暴れする。そんな燃える洋画のような面白さが更に高まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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