読書感想:姫騎士様のヒモ3

 

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読書感想:姫騎士様のヒモ2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、自身の飼い主であるアルウィンを献身的に支え、自らの身が傷つくのも厭わぬヒモ、マシュー。彼はアルウィンの為ならどこまでもいくし、どこへだって駆け付ける。そんな彼の愛は、純愛か。否、と言ってもいいだろう。狂信、崇拝、と言っても過言ではないかもしれぬ。そんな愛が再び示されるのが今巻であり、今までで一番、マシューが格好いい、かもしれないのが今巻である。

 

 

 

「俺は俺の意志でアルウィンを助けに行くんだ」

 

エイプリルの作った誓約書を利用し、お休みを取っているデズの部下という事にして、セシリアとベアトリスという双子の姉妹が率いる有力パーティ、「蛇の女王」に帯同し潜るのは「千年白夜」。この世界に最後に残された迷宮は、誰に対しても苛烈なもので。マシューの目の前で有力パーティのメンバーも多数死んでいく中。急いで魔物達を退け、何とかアルウィンの元へと辿り着くことに成功する。

 

 だが、状況はほぼ最悪の一歩手前と言っても差し支えなかった。突如として襲ってきた「伝道師」の魔の手により「戦女神の盾」は半壊し、アルウィンもまた致命傷を負い。「聖骸布」を用いた儀式で何とか命を繋ぐも、「迷宮病」の悪化により日常生活を送る事もままならなくなってしまったのである。

 

同じように呪いを受け、自死を選んだかつての仲間の訃報を聞くマシュー。その目の前の彼女が折れてしまったのは、その心。迷宮病を完治させる手立てはなく、出来る事は限られている。それでも出来る事はしなければならない。スタンピードの脅威に準備を進める「灰色の隣人」を後に、道案内としてノエルを連れ、押しかけてきたラルフも渋々帯同させ。一路目指すのはマクタロード王国。アルウィンたちの故郷であり、現在は魔物達の王国であり魔境となってしまっているその場所。

 

「どうかご武運を」

 

生き残り達の村にアルウィンを残し、ノエルを王都へ繋がる秘密の入り口の防御として残し。マシューは伝説級の魔物達の大波の中、一人迷宮へ向かい駆け抜ける。全ては王宮にあるアルウィンの思い出の樹、そこに忘れられたものを取り戻すために。

 

だが首尾よく取り戻したとして、それで終わりに非ず。マシューの不在により暴れたアルウィンの手により、生き残り達の村を守っていた結界が壊され。つがいの竜を始めとし、絶体絶命の恐怖が迫りくる。

 

「改めて言うよ。君が好きだ。愛してる」

 

 だがそんなものがどうした。関係ないと言わんばかりにマシューはデズ達と共に死地へと飛び込んでいく。「『くそくらえだ!』」、その一言を合言葉に。その雄姿にアルウィンもまた奮い立ち。敢然と立ち上がり、脅威を退ける為に共闘する。

 

だが、彼等はまだ知らぬ。彼等のいない「灰色の隣人」に「伝道師」が何を仕掛けているのかを。果たして彼等が遭遇する異常事態の原因とは。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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