読書感想:最弱無能が玉座へ至る4 ~人間社会の落ちこぼれ、亜人の眷属になって成り上がる~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:最弱無能が玉座へ至る3 ~人間社会の落ちこぼれ、亜人の眷属になって成り上がる~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、吸血鬼、獣人、そして悪魔と各勢力を渡り歩き眷属として戦いに巻き込まれ、王としての力を見せつけてきた我らが主人公であるケイル君である。そんな彼の活躍は、残る亜人の勢力にも徐々に認知されてきている訳であるが、ここで画面の前の読者の皆様に一つ問うてみよう。皆様はこの作品における「亜人」について、何か疑問を持たれた事はあられるであろうか。何か言葉に出来ぬものでも良いが、ふとした瞬間に疑問を抱かれた事はあられるであろうか。

 

 

疑問を抱かれた事のある読者様にお先にこれだけは言っておこう。その疑問の一節、この作品の根底に光を当てていくことになるのが今巻であると。

 

アイナに誘われ獣人領で戦い、更にはエレミーに拉致されて魔界で激闘を繰り広げ。激動にも程がある夏休みが明け新学期。おりしも王都にはタッグ制の武闘大会「グランセル祭」の季節が迫っていた。参加するかとぼんやりと考えるも、妹であるミュアも出場すると知り出場を取りやめ、観客に徹しようとするケイル。

 

「私の眷属になって―――グランセル杯で優勝してください!」

 

 が、しかし。彼に夜、襲撃と言う手荒な挨拶と共に接触する影が一つ。天界を統治する四大天使の一人、「火」を司る天使のミカエル(表紙中央)である。

 

彼女は言う。今、天界は滅亡の危機に迫られていると。伝説の種族である神族に仕えるが故に王を持たぬ天使族。その一人である「土」の大天使、ウリエルが叛逆を企てていると。その鍵となる天使を操るアイテム、「神伝駒」が大会の優勝賞品となっている。だからそれを合法的に手に入れる為に力を貸してほしいと。

 

結果的に協力を選び、級友であるエディ(表紙右)を相棒に、ギルドでの偽名「ノウン」を用い、感情を対価に捧げミカエルの眷属となり。自分を虐げていた日々の元凶であった先輩、ライナーを始めとする強敵達を浄化と光の力でぶちのめしていく。

 

 その前に立ち塞がるのは、エディと同じ孤児院の出身でるクロウ。ウリエルの眷属となっていた彼との決戦迫る中、エディが隠していた秘密は唐突に明かされる。

 

彼は、実は本来の名は「ソフィ」という少女であった。ミカエルの眷属となり性別を偽り、そして監視のためにケイルに近づき。彼の友達として振る舞っていたのである。

 

それを知っても尚、友であることを選び。しかし彼等の目の前、ウリエルは強硬手段に訴え、暴走した天使たちが大会の場に降り立つ中、「神伝駒」は奪われてしまう。

 

 そんな事態になっても、主である神族は姿を見せぬ。それは何故か。エディの口からさらりと語られるのは神族の秘密。それはこの世界の成り立ちにも関わる重大な秘密。

 

・・・何やら、ケイルが全ての亜人の力を受けた時、神族との戦いが起きそうなフラグが立った気がするが、それはさておき。止めるしかない、決戦の場へと赴く彼等。

 

「大丈夫だ。―――あとは任せろ」

 

 天使を相手に絶対のアドバンテージを持つウリエルの計算を覆すのは何か。それは、ケイルの想定外の成長と、それぞれの種族の王となれる彼だからこそ出来る、王の力を幾重にも用いる戦闘スタイル。

 

新たな戦いが熱さを見せる中、世界観の開示が何かを感じさせてくる今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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