読書感想:武神伝 生贄に捧げられた俺は、神に拾われ武を極める

 

さてさて、お立合い。これより始まりますは、無能と呼ばれた少年が神より習った武術で、無能から最強へと成り上がる物語也。 と、それはさておき、「武神」という肩書を聞いて画面の前の読者の皆様はどんなキャラを連想されるであろうか。自分としては中々いない次第であるが。

 

 

それもまた仕方のない事かもしれぬ。 剣、槍、はたまた徒手空拳。武術と一口に言っても様々であり、その道を究めるのはそれこそ一生を費やす程に簡単ではないからである。

 

とある異世界、其処に存在する日本風の異世界、陽ノ国。その名家に生まれながらも生まれつき魔術が使えず、周囲から「無能」と蔑まれる少年、刀真(表紙中央)。優秀な弟と比べられ日々苛められるも、ひたむきに修行に励む彼。しかし彼はとうとう両親からも見捨てられ、強力な魔物がひしめく「極魔島」へと生贄として、捨てられてしまう。

 

「――――――儂の弟子となれ」

 

 が、しかし。捨てる神あれば拾う神あり、とでも言うべきか。魔物に襲われる彼を救ったのは、偶々通りかかった亜神。人の身でありながら何かを極め、神へと至った者。 間もなく消滅する、と言う亜神は彼の中に生命の息吹を感じ、自身の生きた証を残す為に彼を弟子にし。亜神の治療により魔力も使えるようになり、修行を五年。 亜神の武術、「覇天拳」を余すことなく受け継ぎ。師匠の消滅を見送り、最後の試練として向かった、何かの結界で守られた島の中央。そこで出会ったのは、陽ノ国の初代皇帝、その魂。刀と拳の激突の先、皇帝の魂から認められた彼はその刀を継承し。剣術もまた叩き込まれる事となる。

 

 

拳と刀、二つの術を身につけた彼。その前に現れたのは、島に流れ着いた少女、リーズ(表紙後方)。海を挟んでお隣、アールスト王国から流れ着いた彼女。彼女と友情を結び、彼女についていく事となり。海を渡って、アールスト王国へと辿り着く。

 

最初に辿り着いた港町、レストラル。その街のギルドマスターであり、リーズの既知の相手であるベラと出会い、冒険者となり。 今まで知らなかった初めての事を知る事で、彼の世界は大きく広がっていく中で。リーズに隠された事情が明かされ、その秘密により国の中枢に巣食う魔族が彼女を狙い、刺客を差し向ける。

 

「・・・・・・任せなさい。私たちは―――仲間なんだから」

 

一人では勝てぬ、だけど未熟であっても二人でなら。共に力を合わせ、絆の先に一撃を放ち。黎明を切り開くが如き一撃で、戦いを終わらせるのである。

 

正に真っ直ぐなファンタジーであり、何か大きなお話が始まった、という事を真っ直ぐに教えてくれるこの作品。ファンタジーで心を熱くしたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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