読書感想:最弱無能が玉座へ至る3 ~人間社会の落ちこぼれ、亜人の眷属になって成り上がる~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:最弱無能が玉座へ至る 2 ~人間社会の落ちこぼれ、亜人の眷属になって成り上がる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、一巻と二巻の表紙を少し振り返ってみると、この三巻の表紙で何か今までと異なる点があるという事については、画面の前の読者の皆様はお気づきであろうか。この三巻では、我等が主人公であるケイル君が既に誰かの眷属となった姿である。これが一体何を意味するのか。という事はここから語っていきたいと思う。

 

 

ここは悪魔の住まう世界。貴族の血統ではなく、実力が全てで力こそがものを言う群雄割拠の世界。

 

その世界の学校であり、序列が全てを決め序列一位が新たな魔王候補の筆頭となる悪魔学校。

 

 かの学校に、従者を伴い入学する影が一つ。その名はケイル=ヴィネ。(表紙右)嵐を操る能力を持つ、没落した貴族であるヴィネ家の四男。お付きのメイドであるエレミー(表紙左)を従える彼は無論言うまでもないが、ケイル君である。他人の空似などでもなく本人である。

 

謎の人達の影を夢に見ながらも、何も思い出せず。エレミーと出会う前の記憶を持たず。

 

「私にお任せください! 手頃な相手に申し込んでおきます!」

 

そんな彼はエレミーに導かれ、いきなり序列戦で五位の相手に挑む事になり。あっという間にジャイアントキリングを成し遂げた事で、否応なく注目株となっていく。

 

 いったい彼に何が起きているのか? その答えをこれから語っていこう。

 

彼の記憶喪失の原因、そして彼を眷属にした亜人は無論、彼の傍にいるエレミーである。獣人王との決戦後の疲弊の一瞬の隙を突き、ケイルの大切な人達を人質に取り、半ば脅迫めいた方法で記憶を代償に、彼と眷族契約を結び。

 

「・・・・・・こんなの、本意じゃないんですよ」

 

本意ではない、罪悪感に苛まれながらも何故彼女はケイルを眷属としたのか。それは仇と憎む相手がいるから。そして、悪魔の世界の勢力争いで勝たなければいけないから。

 

戦うべき敵は、序列高位の猛者達。雷を操る絶対的一位、ライガット(表紙左上)を始めとする強者達。

 

その裏で蠢いているのは、悪魔の世界の勢力争いに絡んだ黒幕の思惑。強者達の矜持すらも踏みにじる最低の思惑。

 

 圧倒的な速度で序列戦を突き進む中、悪魔の世界で出来ていく新たな仲間。再会した懐かしき因縁の相手。そして、蘇りゆく彼の人間としての記憶。

 

「ここまで巻き込まれたんだ。今更、見過ごせない」

 

だが、それでも。エレミーの都合の良い駒として扱われていたと知っても。ケイルは選ぶ、最後までこの事態に関わっていく事を。もう放っておけない存在となった、彼女の願いを叶える事を。

 

その願いの元、今一度結ばれる契約が導き出す魔王の力。それは世界全てを覆う程の、絶対的な王の力。自身以外を否定する、魔王の力。

 

前巻とは少し毛色を変えた、だが更に圧倒的に熱いバトルで駆け抜けていく今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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