前巻感想はこちら↓
読書感想:幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら 疎遠だった幼馴染が怖い - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて画面の前の読者の皆様、まずはこの作品の感想を読み始める前に今巻のサブタイトルを見てほしい。怖かった幼馴染が可愛い。表紙からして可愛い。前巻のツンデレの片鱗すら何処にもなく、可愛い。そして康貴と愛沙が二人きりの時間を過ごしているのはお分かりであろう。
が、しかし。この光景に辿り着くには二人だけでは足りなかった。そこに辿り着く為に必要だったのは、愛沙の妹であるまなみの手助け。そして、夏休みと言う特別な時間だったのである。
前巻は康貴と愛沙、二人が疎遠な幼馴染から普通の幼馴染同士に戻るまでだった。だけど、そこで止まってよいのか? 本当にあと一歩踏み込まなくて良いのか? そう問いかけてきたのは我らが妹、まなみである。
本当ならば自分が迫っても良かったはずなのに。彼女だったら十分にメインを張るだけの度量があり、彼の事を好きという心もあったのに。それでも、まなみは姉の背を押したのだ。誰よりも大切な姉に、幸せになってほしかったから。
そして、その後押しをしたのは夏休みと言う、今この瞬間しかない特別な時間である。
普通だったら、学校の人間とは疎遠になる。だけど、この二人は幼馴染同士である。そして、交流も復活した事により、互いの家同士の距離も縮まり、また家族同士の付き合いが始まる。
だからこそ。別の意味で余人を交えぬからこそ。誰にも邪魔されぬ時間を過ごせて、全部をさらけ出せる。そんな今しかない時間もまた、二人の背を押したのだ。
そうならば、もう必然であったのかもしれない。康貴と愛沙、二人がまたお互いに向き合い惹かれ合い始めるのは。
そう、あとは一歩を踏み出すだけだった。二人、同じ時間を過ごすたびに恋心は抑えきれなくなり、もう目を逸らす事は出来なくて。ならばもう、あとは踏み出すだけ。そして、柔らかな手による追い風が、二人の背中をどんと押す。
「康貴、ありがとね」
「こちらこそありがとう」
素直になって、お互いを見て。
「俺は多分、ずっと愛沙のことが好きだった」
「私も、ずっと・・・・・・康貴のことが好きでした」
諦めを越えて言葉を届けて。嬉し涙の流星一筋、はぐれてお互いを探していた二人の心は新たな絆で結ばれる。
康貴と愛沙、恋人同士となった二人。だけどその間にはまなみがいる。だけど、それで良いのかもしれない。三人そろって一つ、三角の頂点が一つ欠けては三角にならない。そして三人でいるのが、違った形で当たり前だから。きっとそれで良いのだ。
だが、ゴールに辿り着いてそこからが新たなスタートである。だから、まだお楽しみはきっとここから。
前巻を楽しまれた読者様、可愛い妹に癒されたい読者様、やっぱりラブコメが好きな読者様にはお勧めしたい。
きっと貴方も満足できるはずである。
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