読書感想:本能寺から始める信長との天下統一 4

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前巻感想はこちら↓

読書感想:本能寺から始める信長との天下統一 3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、今まで散々語ってきたがこの作品において、誰も知らぬ歴史はもう既に始まっている事は明白であり、ここまでこのシリーズを読まれてきた画面の前の読者の皆様であればそれはご存じであろう。そして今回、本当の意味で歴史の変更が確定となる。

 

では一体何が起きるのか。それは信長様による、日本国統一宣言である。本来の歴史であれば日本を統一したのは豊臣秀吉である。しかし、この作品の歴史で日本を統一したのは信長様であり、関東征伐も終わり最早敵なし、抵抗戦力なしかと思えば最後まで残っていた敵、島津家を滅ぼす為に信長様は戦争へ向かい、あっという間に片付けてしまう。ここまで本能寺の変から五年、真琴と信長様が出会ってから五年の出来事である。

 

そう、五年である。五年もあれば少年が大人になるのは十分な時間であり、幼女が少女になるのに十分な時間なのである。

 

それは一巻の口絵でちんまい姿を見せ、今表紙で円熟を迎えつつある姿を見せるお江を見れば明らかであろう。

 

そして、日本国統一宣言の前後を切っ掛けとして、二十歳を越え大人になった真琴に出世の時が訪れる。大納言昇進、そして常陸国、つまりは真琴の故郷であり未来で茨城と呼ばれる国の受領である。

 

そう、今は茨城が真琴の手の中に収まっている。かの国を発展させるも衰退させるも己次第。もう城持ちではない、国持ちである。大大名である。国の中、何をするにも自由であると共にその行動には、今までで一番の責任が伴うのである。

 

ではそんな未開の常陸の国で、我らが主人公である真琴は一体どんな政策を為すのか。まず初めに彼が始めたのは、自らの居城となる城の建設。更にその城は、左甚五郎等の後の有名な芸術家達を招いて創り出したのは、彼の趣味である萌えがふんだんに盛り込まれた、今の世の中から見ると混沌に過ぎやしないかと思われる城であった。

 

一体何を言っているのかと思われる画面の前の読者の皆様、どうか想像してみてほしい。もし巨大な美少女のフィギュアが如き彫刻が日本の城にあったら。想像していただければ私の言いたい事は分かっていただけるかもしれない。

 

だがしかし、彼は常陸の国の中で目にする。一見日本が統一され平和になったように見えて、まだまだ傷だらけであると。殺し殺され、誰かを喪った悲しみと憎しみが溢れていると。

 

人身売買、それもまた止めるべき唾棄すべき所業。だがしかし、それを行わなければ生きていけぬ者達がいる。誰も犠牲にしたくない、そんな願いだけでは現状は何も変えられぬ。

 

「統治って難しいよね」

 

彼方立てれば此方が立たぬ、何をするにしてもすぐには何も出来ぬ、気の遠くなるような年月を賭して、初めて可能となるのだから。

 

今まで描かれてきた一つの時代が確かに終わり、今本当の意味で新たな歴史は始まった。そして真琴は、今までとは違う戦いへと身を賭す。

 

このシリーズを楽しまれている読者様、新しい文化を作るのが好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと満足できるはずである。

 

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