さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は今の仲間に満足されているであろうか。今、隣にいる仲間に満足できていない所はあるであろうか。
さて、この作品の作者であられる御子柴先生と言えば、講談社ラノベ文庫で下記の作品を手掛けられている先生である。↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/07/03/235954
その御子柴先生が、上述した作品の前に手掛けられていた作品こそがこの作品であり、どこか若さを感じさせてくれる、言わば原初に近い作品ともいえる作品がこの作品である。
人と魔族が争う異世界。そこに二年前に魔族のみが住まう辺境へと追放され、二年もの間生き抜いてきた退魔師がいた。彼こそがユリア(表紙中央)。魔族の住まう地での生活を余儀なくされた末に、異端にして最強の力を手に入れた少年である。
人の世界へと戻り、退魔師のエリートを育成する学園へと入学したユリアは、その規格外の実力で級友であるシェリー(表紙左)達を愕然とさせながら、その強さで一気に認められていき、光の速さが如き勢いで成り上がっていく。
それこそは、二年前には得られなかった評価。そして、二年前には得られなかった仲間の温かさである。
だからこそ、例え自らを追放した仲間達と再会しても、もう恐れる事は何もなく。
あの日とは違う、もう実力差は逆転している。だからこそ恐れる事は何もなく。
しかし、そんな彼と仲間達を襲うのは強敵な魔族の襲来。そして誰かに仕組まれた悲劇。
「・・・・・・ダン、いくよ」
討つしかない、だから魔族と化したかつての仲間をその手で殺し。
「ユリア、信じてるから。絶対に戻ってくるって」
昔とは違う、今は自らの生還を信じてくれる人がいる。だからこそ死力を尽くした果て、限界を超えても戦える。
この作品は根底に不穏な要素を孕んだ作品である。何か最悪な悲劇を将来に予感させる、既に人類は死に体である絶望が根底にある作品である。しかし、だからこそそんな中でも必死に希望の為に戦う戦士達が映え、黄昏の中の一筋の希望の光が眩しい作品なのである。
リアーヌ王女(表紙右)にも目を付けられ。最短で学院を卒業して実戦へ。
本当の彼等の戦いはここから始まる。その果ては希望か、絶望か。
追放ものが好きな読者様、創り込まれた圧倒的な異能と魔術が見所であるファンタジーが好きな読者様は是非読んでみてもらいたい。
きっと満足できるはずである。