読書感想:冰剣の魔術師が世界を統べる 世界最強の魔術師である少年は、魔術学院に入学する

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。異世界式ファンタジーと言えばやはり魔法であると私は思うが貴方はどう思われるだろうか。そして魔法は作り込まれているからこそ美しく熱く映える、そうは思えないだろうか。

 

小説家になろうで人気の今作はハイファンタジーに分類される作品であり、異世界を舞台とした作品である。それだけでは小説家になろうに多く存在している数多の作品と同じである。では何が違うのか? 何処が一線を画する部分となっているのか?

 

その答えは二つ。独自のコードに基づいて詠唱される魔術の数々、そして主人公であるレイ(表紙右)に触発され影響され、変わっていく者達の成長譚である。

 

詳しくはこの作品を読んでみて貰って確かめてほしいが、この作品の魔術はコードという独自の理論の元に構築され、まるでプログラムを組み立てるかのようにコードを組み立て、結果として魔術を展開している。それだけでただ詠唱する、ただ放つだけという部分とは一線を画しておりよく練り上げられ組み立てられた、作者様の努力と作り込みがよく見える。故にこそ、きちんと作り込まれているからこそ面白いのである。

 

続けての魅力、それは前述した通り成長譚である。ではそれはどういう事か。

 

彼が入学した学園は古き良き名門である。しかし、故に柵も多く古き因習がそこかしこに残った血統主義に縛られた学園である。そこに入学したレイは貴族ではない。一般人である。

 

しかし、彼には隠された正体があった。それは何か。それはかつて地獄の如き戦役で戦い抜いた、今は力を制限されているものの、世界に七人しかいない最強の魔術師、その中でも最強と謳われる「冰剣の魔術師」だという事である。

 

「あなたに、「冰剣の魔術師」の本質を見せよう」

 

彼の秘めた力が取り払われた時、凍り付いた時が顕現し全ては凍える時間の中へと沈む。

 

しかし、最強である彼にも弱点がある。それはまるで某フルメタルパニックの主人公のように一般の生活が分からないという事である。

 

そんな彼は、三大貴族の娘の一人であるアメリア(表紙左)達と出会い、彼女達を驚かせ価値観を覆しながら、彼女達に友達や仲間の温かさを教えられ初めての事を知っていく。

 

同時に、まるで氷壁のように凍り付いてこびりついた因習と偏見の壁を彼はその力を以て壊し、その在り方がアメリア達に変革を促し、相互に成長を促していく。

 

お互いに教え合い、成長させあう。まるで比翼連理のように。

 

この作品の根底は言うなれば手垢がついた程に使い込まれた王道であるかもしれない。しかし故にこそその作り込みが地力の高さを感じさせ、唯一無二の魅力へと昇華させているのである。

 

ファンタジーが好きな読者様、王道が楽しみたい読者様は是非読んでみてほしい。絶対に満足できるはずである。この作品は末永く続くべきだ。

 

 

 

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