読書感想:追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる4

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前巻感想はこちら↓

読書感想:追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の最終盤、魔物の起源である魔族、その中の七人の実力者である「七魔征皇」、そのうち二人と遭遇を果たした我等が主人公のユリア。命の危険すら感じる状況の中を何とか生き抜き、結果として勝利を掴み。Sランク対魔師達を大人数投入した「ファーストライト作戦」は無事に成功を収める結果となる。・・・それは良い、良い事である。しかし画面の前の読者の皆様、何かをお忘れではないだろうか?

 

 

無論、舞台の裏で蠢く「裏切り者」の存在については、お忘れではないだろう。忘れてはいけないのはもう一つの事。そう、七魔征皇達が一枚岩ではないように。人類もまた、「保守派」と「革新派」に分かれ、戦いの裏で暗闘を繰り広げているという事を。

 

 そんな人類派閥の争いの中、徐々に勢いを得つつある「革新派」が、ユリアに希望の象徴として目を付けぬわけがない。勝利に沸く人類、勝利の立役者として様々なパーティに引っ張りだこになるユリア。彼へと、革新派は接触し。好きなものを何でも、という破格の条件の元に彼に象徴となる事を依頼してくる。

 

それは理想に燃える只の若者であるユリアにとっては、初めての経験。初めて目撃する、大人の汚さと知らなかった暗部の世界。

 

 そして、それは「裏切者」もまた、辿ってきた道。大人の思惑に飲み込まれそうになりつつあるユリアを見、「裏切者」は思いを巡らせる。

 

自分もまた、彼のように理想に燃えている時があった。だが、世界は優しくは無かった。綺麗ごとなんか言えない、汚い部分をこれでもかと見せつけられ。守るべきだったはずの者達からは悪意を向けられ。そして、本当に守りたかったものは、その手を零れ落ちて、暗闘の中から生まれた悪意に消されてしまう。

 

「理想の世界を作るためだ」

 

「人類に必要なのは、浄化だよ」

 

「ゲームをしよう。人類の命運を賭けた戦いを、始めようではないか」

 

 それでも、「裏切者」はもう止まれなかった。その手を血に染める事を止められはしなかった。だからこそ、その優しき狂気はもう止められはしない。何処まで行っても、その主張とは平行線をたどるばかり。故に、「裏切者」はユリアを含むSランク対魔師を集め己の願いを語り。結界都市を滅亡に陥れる為の策を発動させる。

 

遂に始まってしまう戦い。だがきっと、この先に待っているのはどちらかの死。それでも、止めるために。もう、戦うしかない。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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