読書感想:シスターと触手 邪眼の聖女と不適切な魔女

 

 さて、時に画面の前の読者の皆様は、触手と聞いてどんな作品を連想されるであろうか。暗殺教室、と答えた読者様は多分マンガ好き、異世界蹂躙と答えた方はラノベ好き、であるかもしれない。その答えは各自の中で求めていただくとして。触手というのは淫靡、インモラルというのは一体どの辺りの土壌で醸成された風潮なのであろうか。やはり、エロゲ辺りであろうか。

 

 

と、いうように。割と触手という単語は凌辱、という言葉にもつながる訳であるが。この作品はそんな、触手がある意味大活躍するお話なのである。

 

最大の宗教組織である正教会によりスキル覚醒の儀式が執り行われ、正教会によるスキル差別がまん延しているとある世界。ごく普通の少年、シオンは神託により何故か、魔女と認定され。直ちに処刑、という事になり断頭台で死の瞬間を迎えようとしていた。

 

「シオンさん、迎えに来ました」

 

「こんなところで殺されてたまるかよ!」

 

そこへ現れた救いの女神、もといシスター。その名はソフィア(表紙)。邪眼の魔女、と呼ばれる魔女認定された者であり。彼女の口づけによりシオンの本当のスキル、触手召喚が目覚め。右腕が変じた触手で湧き上がる怒りのままに蹂躙、処刑執行官を辱め。そこでソフィアによるストップが入り、彼はソフィアたちの拠点へと連れていかれる。

 

そこにいたのは魔女と認定された者達。あなたとなら世界を変えられる、というソフィアを信じてシオンは彼女達魔女の仲間になり。仲間を助け増やす、その目的のために様々な作戦に従事する事となる。

 

そこにあるのは、明かされなかった教会の腐敗。この世界の根幹をなすからこそやりたい放題。そして彼女達魔女陣営は、いわばレジスタンス的なもの。しかし一騎当千の強者ばかり、という訳ではない。教会最強な性格破綻者勇者、エルヴィスたちに仲間は次々と狩られ、状況は大分不利。

 

そんな中、ソフィアや味方の魔女により性的興奮を齎され、その興奮が触手をどんどん進化させ。いつも状況はぎりぎり、常に追われる側の立場である中、教会により仲間達は捕らえられ、救い出すために神域まで潜入し。

 

「シオンさん、一緒に帰りましょう」

 

立ちはだかる絶対強者、エルヴィスを打ち倒す為。ソフィアの期待と願いを胸に闘志へ変え。ソフィアが無謀な作戦で囮をやりつつ、シオンの触手でとどめを刺すのである。

 

あらすじからは想像できぬ、かもくらいに割とハードでダークな世界観の中、確かに淫靡でコメディで、だけどきちんと英雄的なファンタジーであるこの作品。 ハードめなファンタジーが読んでみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: シスターと触手: 邪眼の聖女と不適切な魔女 (ガガガ文庫 ガか 5-35) : 川岸 殴魚, 七原 冬雪: 本