読書感想:凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でちょっと、どころか割と大分狂人寄りである只人の在り方が示された訳であるが。その只人に力を与えた存在である「耳の怪物」。その恐ろしさはどれほどのものなのか、というのを画面の前の読者の皆様は考えられた事があるであろうか。心配には及ばない。そのヤバさの一端が語られるのが今巻なのである。

 

 

「ダンジョンを舞台にした各国による"遺物収集戦争"だ」

 

探索者組合がアルファチームだけにではなく、各国の指定探索者を含む実力上位のチーム、更には国連軍のダンジョン攻略部隊にも呼び掛けた「トオヤマナルヒト捜索依頼」。 未登録遺物保持者の疑いがかけられている彼を探すと言う事は、すなわち誰にも知られていない遺物を集める戦争が起きるという事。その戦いに備える為、夢の中でまた遭遇したガス状の男から、新たな神秘の残り滓を集めろと言われ。そこに繋がる手がかりであったかつての仲間、凛に連絡を取り。彼女の家に残っていた伝言を聞いたことで鬼に見つかったというフラグが立つ中。 首尾よく神秘の残り滓を手に入れることに成功する。

 

「だから、貴女にはあげないわ。絶対に」

 

「だから、貴女には渡したくないんですよ、絶対に」

 

その裏、退屈から救ってくれた事で、只人に執着的な感情を見せる凛とアレタ、ある意味で似た者同士の二人の小さな激突があったりする中。始まる探索、それはしかし見た事もない魔物の襲来を切っ掛けに。場はいきなり混沌へと陥っていく。

 

「お、おい、あれ・・・・・・なんだよ」

 

地上を目指し大挙して押し寄せる魔物達、壊滅する前線基地。そこより落ち延びてきた兵器の中から現れるのは、耳の怪物。 無邪気な子供の様に只人との再会を喜ぶ、掛け値なしのレベルの邪悪。 その魔物を倒す為、凛を始め各国の強者たちが残り。 耳の怪物と決着をつけるべく、只人もそこに残る事となる。

 

そこで提示される攻略のヒント、それは必ず誰かが犠牲となる者。誰かを選べば誰かが死に、第三の選択肢を選んだらまだ力に覚醒できていない只人が死ぬ、という結果を伝えて来て。

 

「今日はカルビとかじゃなくてホルモンとかレバーの気分なんだよなあ!!」

 

しかし、それがどうしたと言わんばかりに只人は己の死を容易く選び取る。その先にどう見ても怪物、としか思えぬ野蛮に過ぎる戦い方を見せ。その戦い方が結果として、一先ずの勝利を引き寄せていくのである。

 

 

絶望感と熱さが見所である今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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