読書感想:銃弾魔王子の異世界攻略 ―魔王軍なのに現代兵器を召喚して圧倒的に戦ってもいいですか―2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:銃弾魔王子の異世界攻略 ―魔王軍なのに現代兵器を召喚して圧倒的に戦ってもいいですか― - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で銃器を扱う力に目覚め、更には原始の魔人、という種族にまで目覚めたこの作品の主人公、ラウルであるが。尊敬する父親を殺し、領土を蹂躙した憎き敵への復讐譚が今巻から始まる訳であるが、果たしてすぐに復讐が始まるか、と言われればそんな事はない。ラウルはまだ子供、未熟に目覚めたばかり。故に一先ず、臥薪嘗胆の期間が必要なのだ。

 

 

「もう国はいらぬわ。飽きたし」

 

そして彼は、もう一つ逃げられぬものがある。それはその血の、原始の魔人としての宿命。酷い毒に倒れたガルドジンの面倒を見たいルゼミアから、後々国を押し付けたいという願いを聞かされ、ガルドジンからは部下を預けられ。一先ず彼の、北方での日常が始まるのである。

 

「もっと強くなりたいんだ」

 

しかしまずは、彼にとっての特訓、強くなるための訓練の日々が始まる。しかしそれは、人間の血の方が濃いラウルにとっては、過酷を極める修行。 まずは手始めと魔族流の初歩、雪中行軍に向かってみれば危うく死にかけて。一先ずゴブリンとの組手を行ってみることになれば、全然歯が立たず。それでもひたむきに訓練を、修行をしていく中で。まずは体つきができ始め、筋肉も出来て。新たな魔物の配下も加わり、更には部下となった魔族達に銃器を行きわたらせ。マリアも体術と銃術の融合した新たな武術を身に着け、戦力としても整う中。三年ぶりにラウルは配下を連れ、人間達の大陸へと舞い戻る。

 

「これは俺の罪だ。俺が弱かったからこんなことになったんだ」

 

 しかし、画面の前の読者の皆様は前述した内容はお忘れではないだろう。彼は未だ未熟なのだ。例え身体が出来ていても、まだ経験という面で未熟。そして彼がやっているのは生前愛したサバゲ、ではない。戦争である。命を奪い合い、裏切った者を見せしめとして、けじめとして処刑せねばならない容赦のなき殺戮の場なのである。

 

 

再び巻き起こるのは戦い、今度はあの日のように逃げるのではなく、攻めてきた敵を迎撃し、銃器の圧倒的な火力で血煙へと変えて。だけど、裏で進行していた裏切りを読みきる事が出来ず、結果的に街を一つ消滅させる事となり。本当の意味で死を背負い、涙と共に抱え込んで。本当の意味での戦いを知ったラウルは、戦いへの思いを新たにするのである。

 

より血煙が上がる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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