読書感想:無能と言われ続けた魔導師、実は世界最強なのに幽閉されていたので自覚なし3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:無能と言われ続けた魔導師、実は世界最強なのに幽閉されていたので自覚なし2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、私は前巻の感想で、前巻を前後編の前編のようなもの、と書いた訳であるが。前編である、と言う事は今巻は後編である。前巻の最後、急襲をかけてきた魔王の一角、グリム。黒幕であったクリストフの仲間と決着をつけることとなるのが、今巻なのだ。

 

 

では魔王の一角を前に、アルスがその力を見せつけると言うのはどういう事か。その答えは簡単だ。魔法の世界にもアルスの実力が知られる、という事でありいよいよ以て、彼の実力が隠し切れなくなるのが今巻なのだ。

 

 

「・・・・・・次は本気で相手してやるよ」

 

前巻の最後より物語は続き、怒りに打ち震えるアルスとグリムの激突が始まるも、あっという間に決着はつき、相手にする価値もないと言わんばかりにグリムは叩き伏せられる。だがそれも仕方がない。何故なら彼は、その固有魔法による分身を差し向けて来ただけであり。本気ですらなかったのだ。

 

 

一先ずの挨拶と言わんばかりの手合わせは終わり、瀕死であったシオンは、アルスから隷属魔法をかけられ、彼から魔力を貰う事で生き延びる事となる。

 

 

とりあえずの危機は去り、グリム側も動き出す。幹部とは言え最近は単独で動いていた為に把握していなかったクリストフの動きを探り始める中、教会、さらに言えばヴェルグ達が動き出していく。魔法協会に潜入している仲間達の力を借り、グリム達を陥れるべく、準備が始められていく。

 

無論、アルスやカレンが挑んで勝っても、魔王になれる、という訳でもない。魔法協会が定めたルールがあるから。だが挑ませる、叩き潰す。怒りを漂わせるユリアの指揮の元、準備は整いだす。

 

そんな事とは露知らぬアルス達は、いつも通りの日常へ。ひょんな事から水着を見る事となり、アルスが純粋さ故に選んだ水着がユリアとエルザを赤面させたり。「失われた大地」に遠征して、アルスの傍らでユリアが磨かれた実力を発揮したり。そんな一幕もありつつ、教会も魔法協会も一枚岩ではない事が仄めかされたりしつつ、二つのギルドの全面戦争の時が来る。

 

「私の、”黒き星”が世界を造り替える。今日が、その始まりです」

 

その戦いは彼女の言う通り、アルスの実力が本当の意味で発揮される時。魔法の世界に、天才という言葉では及ばない彼の特異性が示される日。本気のグリムと互角に渡り合い、あまつさえ彼の固有魔法を己の領域の中で再現して見せて。全ての魔法を支配し従えるその力が余すことなく発揮される時、世界に彼の名前は刻まれる。

 

「私も表舞台に出る覚悟ができたというわけです」

 

その裏、その仄暗き狂気の愛の一端を晒す彼女も動き出す。誰よりも愛する彼を護る為、覚悟を固め一歩を踏み出す。

 

全ての準備が整い、全てが動き出す今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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