前巻感想はこちら↓
読書感想:無能と言われ続けた魔導師、実は世界最強なのに幽閉されていたので自覚なし4 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻でアルスの前に現れた強大な魔物、フェンリルはアルスの「天領廓大」までいった力を以てしても殺しきれぬ相手であり、その点においては初めての敵であるのだが。つまり言うなればアルスはまだまだ成長する余地があると言う事であり。まだまだ世界にはアルスの知らぬ実力者たちがわんさかいる、という事である。
そして前巻、フェンリルとの戦いの中で魔法協会側にもついにアルスは目を付けられてしまった訳で。目を付けたのならば、動き出さぬ訳はなく。つまりは今巻から本格的に始まるのである。アルスを巡る盤外での頭脳戦が。
一先ず魔王、リリス(表紙後方)が祝賀会という場を立ち上げ、そこにアルスを連れてきてとグリムに、執事であるセバスを通して要請し。一先ず引き受けた彼に与えられたのは、廃棄番号no1、グリムにとっては因縁のある魔族が現れたと言う情報。怒りに駆られたグリムは早速動き出し。
「仕事はやりやすくなったでしょう」
その動きを勘付き、ユリアもまたヴェルグを動かして動き出す。教会側を纏める為の作戦を進めつつ、しかし一先ず魔王側には動きが見られぬ為、監視だけは継続しつつ。
「不確定要素が多すぎて手をださないほうが懸命のような気がしてきました」
そんな中、流れてくるのは高域に「廃棄番号」が出現した、という話。リリスはグリムを情報によって操り差し向け、その間に魔法協会側の弱体化を目指し。ヴェルグはあまりにも不確定要素が多く、考えることが多すぎる為に一先ず静観、という方向性に決め。
そうとも知らず魔都に滞在し、研鑽に励むアルス。彼から離れていた所でグリムが遭遇したのは廃棄番号No5。自分が狙っていた敵ではなく、弱かった故にあっさり蹂躙するも。そこに格段に異なる実力を持つNo3、フニングニルが襲来。キリシャの助けを求める声にアルスが立ち上がって駆けつけ。フニングニル対アルスの戦いが幕を開ける。
「オレの世界を披露しよう」
その戦いは、アルスにとって初めての戦い。フニングニルもまた、天領廓大まで至った者。世界と世界のぶつかり合い、塗り替え合い、その果てにアルスは幾つかの魔法を覚え。フニングニルは廃棄番号No1が近々現れるという予言を残し消滅する。
「よろしいですわ。あなたを完全に屈服させてさしあげますの」
「こちらの台詞です。必ず後悔させてあげますね」
そして、ようやく開かれた祝賀会で。ユリアとリリスはお互いの正体を知っている、という切り札を晒し合い向かい合って。互いに相容れぬと確認し、宣戦布告をし合うのである。
トップ同士がいよいよ出会い、アルスを巡る争いが加速する今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
無能と言われ続けた魔導師、実は世界最強なのに幽閉されていたので自覚なし 5 (オーバーラップ文庫) | 奉, mmu |本 | 通販 | Amazon