さて、勿論皆様ご存じであるだろうが日本は銃社会ではないので、一家に一丁、銃が有ったりは勿論しない。寧ろあったら困ってしまうかもしれない。しかし例えばアメリカでは、普通にお店で銃が販売されていたりするし、スイスでは国の方針で一家に一丁、銃が有ったりする。つまりは国が違えば銃への考え方は違う訳であり、国の気候や目的に沿って、一口に銃と言っても様々な種類がある訳である。
ではこの世界で一番有名な銃器、ひいては兵器とは何なのであろうか。とある漫画の影響からM16だろうか。それともAKと呼ばれる銃の類だろうか。その答えは分からないけれど、前述の前書きから察していただけたかと思うが、この作品はタイトルからも分かる通り、銃火器、現代兵器を武器に戦っていく作品なのである。
サバゲーをこよなく愛し、超が付くレベルのミリオタな青年、淳弥。サバゲーを愛し、仲間と共に駆け抜けて。その道は然し、アメリカで行われたサバゲー大会中に実弾で撃たれた事で呆気なく終わりを迎えてしまう。
「よく分かんないけど父さんみたいになりたい」
かと思えば、彼の意識は中世風の異世界、男爵家の息子、ラウル(表紙中央)として覚醒していた。この世界の人間には珍しい魔法の力に目覚め、生み出したのは実弾という状況に首をひねり、一先ずは子供として生きる中。優しく勇ましい父親のグラム、愛情深い母親のイオナ、乳母のような存在のメイド、マリア(表紙右)との温かな日々は突如、大国である帝国の侵攻により終わりを告げる。グラムが戦死し、領地へ大軍が攻め寄せんとし、領地を解散させる中。父親からの遺言により北東の果てにいるガルドジンという人物の元を目指す中。ラウルは銃火器を生み出す力を手に決意する。自分から全てを奪った者達に復讐する事を。
だが、復讐しようとすれども簡単にいく訳ではない。馬車で逃げる自分達よりも早い謎の移動手段を持つ敵国、更には自分を狙い来たる魔族達。時に先手を打って狙撃し、時に装甲車を呼び出し逃げる中。ラウルに隠された秘密が明らかとなっていく。
「総力戦を開始する!」
それはあまねく魔族達を悉く平伏させ従わせる秘密。その力は戦いの中で目覚め。オーガ族の若者達やヴァンパイアのシャーミリア(表紙左)といった実力者たちが彼の元に平伏し。その力と銃火器の力を以て、ラウルは指揮を執り逃げ延びた先の街を占拠する敵国の軍隊に立ち向かう。圧倒的な速度で成長した覇気を以て、従える者としての威風堂々をその背に背負いながら。
銃弾と兵器の嵐が乱れ飛ぶ、鉄火場がライトに描かれているこの作品。軽めな鉄火場を味わいたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
銃弾魔王子の異世界攻略 ―魔王軍なのに現代兵器を召喚して圧倒的に戦ってもいいですか― (ダッシュエックス文庫) | 緑豆空, 赤嶺 直樹 |本 | 通販 | Amazon