読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す10 ~ヘンダーソン氏の福音を~

 

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読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す9 下 ~ヘンダーソン氏の福音を~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さてさて、前巻でようやっと続いていた大きな案件に決着をつけ、大けがを負いながらも乗り切った我らがデータマンチ、エーリヒであるが。そろそろお忘れではなかろうか、彼は冒険者としてはまだ駆け出しであると言う事を。あまりにも大きな案件に関わり過ぎてすでに町の中核に食い込んでいる彼、今までは安息ではない日々。彼に安息の日は訪れるのか。

 

 

という問いかけに今巻の答えだけで返すならば、残念ながらその答えは否、である。やっぱり面倒事に巻き込まれていく事になる。しかしそれだけではなく、懐かしい再会もあるのが今巻なのだ。

 

「ああ、我が友エーリヒ!」

 

何とか落ち着き、「剣友会」の統領としての顔も板についてきたこの頃。エーリヒの元にやってきたのは入会希望の冒険者、巨鬼のアルゴス、そして旧友であるミカ。ある意味マルギットよりも心の距離が近い、遠慮せぬスキンシップを交わし合う様子に周囲は呆気にとられ、アルゴスはエタンに試された後で加わることを許されて。

 

「アタシが勝ったら婿として故郷まで引っ張ってってやるから覚悟なさい!!」

 

更に三年振りにディードリヒとも再会、見違えるほどに腕をあげた彼女に肝を冷やされながらも尻を叩いて何とか勝利をもぎ取って。

 

ミカがマルギットに値踏みされ傍に居る事を許されたり、アルゴスが段々馴染んだり、久方ぶりの穏やかな日々。だがすぐに、厄介事はやってくる。

 

「嘘と本物がええ具合に混ぜてある一番見抜きにくい類型やなぁ」

 

街道沿いの泥棒宿の頻発、騎士たちの逐電、動き出す賞金首たち。まるで連動しているようなその動きにきな臭さを感じる中、名指しで舞い込んできたのは護衛依頼。しかしそれは何やら怪しさを漂わせており、嫌な予感はぬぐえず。一先ず受けることにし、剣友会の者達を率い向かう事に。

 

だけどそれは勿論、クソッたれな依頼であった。襲い来るのは謎の軍勢、どんどん消耗を強いられ、更には積み荷であった土豪の上王の忘れ形見、魔眼を持つファーリーンの傲慢さに振り回され。酷い貧乏くじだと嘆く暇もなく、立ち寄った荘園すらも敵になり絶体絶命、しかし心を折るべくの嫌がらせは続き。キレて最早許してはおけぬ、と籠城し引き寄せ決着をつけることに。

 

「暫くは、真っ当な冒険者をしたいかなぁ」

 

悲しき決着も涙もありつつ、何とか今回も生き延びて。神様に願うのは真っ当な冒険。果たしてそれは叶うのか。

 

辺境の闇と都の思惑に巻き込まれ七転八倒する今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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