読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 8 ~ヘンダーソン氏の福音を~

 

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読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す7 ~ヘンダーソン氏の福音を~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 お前のような新米がいるか。そう言いたくなるだろう、我らが主人公、愛すべきデータマンチであるエーリヒに。さて、ではここで画面の前の読者の皆様はこうは思われたのではないだろうか? この作品における本当の意味での新米冒険者、というのは果たしてどんな感じなのか、と。

 

 

そんな基準が分かるのが今巻であり。エーリヒが冒険者として得難き友、悪友であり戦友のような存在を得るのが今巻なのである。

 

「お前が金の髪のエーリヒか」

 

十六歳となり、同時に冒険者としてのランクも一つ上がり。まだまだ半人前だけど少しだけ進んだエーリヒに絡んでくる少年が一人。田舎の小作農の三男坊、ディルクもといジークフリート。その相棒である薬師寄りの魔術師、カーヤ。エーリヒ達と同じ時期に冒険者となるも、昇格の速さで抜かされた彼はエーリヒに絡み、いずれ追い抜かしてみせると宣戦布告を突き付ける。

 

「今度、よければ一緒に仕事をしましょう」

 

そんな彼の初々しさと気高さは、エーリヒが得たかった理想の一つであり実質的な年下として気に入るものであり。さて、そんな彼に気に入られると言う事はどういう事か。簡単な事だ。賽子の神様と運命の女神様に愛された彼の運勢に巻き込まれる、という事である。

 

ナンナから依頼された破格の報酬のお仕事に飛びつき、隊商の護衛に参加してみれば土豪の私兵と思しき集団に襲われ、エーリヒと馬で二人乗りしながら矢を雨あられと浴びる事となり。

 

「どうした。どけよ。代わってやらぁな」

 

死に切れぬ者への介錯という形で童貞を捨てる、という事で憧れた英雄譚の裏の血生臭さを知る事となり。

 

少しだけ名が売れて昇格も果たしたかと思えば、エーリヒに来た指名依頼に巻き込まれ。辺境の英雄の一党の一つも加わり今度こそ容易い護衛依頼かと思えば、悪名高き悪逆の騎士の一党、というどう考えても新米冒険者がぶつかる敵としてはレベルのおかしい敵と激突し、エーリヒの悪魔の誘いで敵陣に後方から突撃する事となり。

 

もう嫌だ、と拒んでいても拒みきれない。何故ならば危険の分だけ入りもよく、同時に気付けば英雄譚の一つも作られるようになっていくから。エーリヒにあれこれ教わりながら拠点を整備し、気が付けばジークフリートとカーヤも、エーリヒの仲間、一党のように扱われていく。

 

「永い夢にも飽いたろう。終わりを持って来てやったぞ」

 

そんな四人が長い時間をかけて挑むのは、ほぼ外国とも言える田舎の山に姿を現した迷宮。どう考えても四人が挑むべきではない冒険の舞台に挑む事となり。迷宮の性質で魔法が使えずファイターとして挑む事となり。悪霊の支配する迷宮で四人で暴れ回るのである。

 

得難き仲間を得、冒険にもさらに熱が出て。その中でエーリヒに新たな動きのフラグが立つ今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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