読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す9 下 ~ヘンダーソン氏の福音を~

 

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読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す9 上 ~ヘンダーソン氏の福音を~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、作者様であるShuld様によるほぼ新作な展開が続く今作品、ここまで読んできた読者様はこう思われた事はないだろうか。愛すべき我らがデータマンチ、エーリヒって果たしてどうしたら死ぬくらい追い込まれるのだろうか、と。 これまでの経験が経験で、潜り抜けてきた修羅場の数と質が濃厚すぎるからか、その身には既にとんでもない経験値が積まれている。故にそう簡単に死ぬ、事は無いのだ。

 

 

しかしエーリヒとて不死身という訳でも無敵でもない。追い込まれる時は必ず来る。その相手が現れるのが今巻なのだ。

 

「濡れ衣を着せようとしている?」

 

「自分の考えやと、それが有力やった」

 

前巻、手練れな暗殺者集団に襲撃され瀕死の重症を負った情報屋、シュネー。カーヤの治療により復活した彼女が齎した情報から推察されるのは、どうも下手人と思しき貴族は濡れ衣を着せられようとしている、という政治工作らしきもの。よりきな臭さが増していき、マルギットにより裏付けの証拠も入手出来て。氏族たちによる掃討作戦の絵図が描かれ始める中、敵も多少遅れて動き出す、それもエーリヒを狙って。

 

「やるな、貴公。拙下が万全の連携で殺し損ねたのは久方ぶりだ。些か自信をなくすぞ」

 

それは、魔導を手段として用いる徒手型の暗殺者、ベアトリクス(表紙中央上)をリーダーとする暗殺者集団「一椀党」の面々。拠点襲撃の場、誘い込まれ五対一の戦いに挑むことになり。何とか生き残る事には成功するも、奥の手を出し渋り大けがを負ってしまい。結果的には痛み分けに終わる。

 

しかしやられっぱなしではいられない、お礼参りをしなければ。見つけられた設備、そこから想像されるのは悪魔的な思惑。その思惑を阻止するためには、時間は味方であり敵。早速敵の拠点を見つけ出し、急ぎ決着をつける為に急襲をかける。

 

「では問うが、退けぬ戦で退く冒険者がいるか?」

 

「・・・・・・なるほど、道理だ」

 

再びぶつかり合う事になる一椀党。毒ガス渦巻く決戦の場、譲れぬ、そして戦いの趨勢を決める戦いをする為、エーリヒとベアトリクスがタイマンで激突し合い。互いに死力を尽くしたぶつかり合いの先、再び大けがを負う結果となりながらも。何とか勝利をもぎ取って。その先に、ベアトリクスたちは新たな道へ進み。やっとこさ一連の事件に決着がつくのである。

 

正に敵も味方も実力者揃い、だからこそ手に汗握る戦いが見られる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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