読書感想:男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 6. じゃあ、今のままのアタシじゃダメなの?

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 5. じゃあ、まだ30になってないけどアタシにしとこ? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、私は前巻の感想で次巻こそが正念場かもしれぬと書いた訳であるが、実際はどうなのか。先に言ってしまうと正念場ではある。だが、正念場としても地獄としても、まだ一丁目である。神様、彼らに何処まで試練を与えるのと思わず言いたくなるくらいに、彼らに試練が覆いかぶさってくるのが今巻なのである。

 

 

そんな試練を彼等は乗り越えていかねばならぬ訳であるが、前巻を読まれている読者様であれば悠宇と日葵の間のぎくしゃくについてはご存じであろう。前巻、それは共犯者としては失格の感情で以てうまく着地点を見つけたように見えるかもしれない。だがそれは、まやかしである。この共犯者として失格、というのが注目すべき点なのである。

 

「ならば、おまえがやるべきことは一つだったんじゃないか?」

 

雲雀に突き付けられた自分の矛盾。恋人同士、という立場を選んだからこその矛盾。それは自分の強みを殺すもの。

 

恋人は親友にはなれない、夢と恋は二律背反。恋人同士としての思いを求めれば、パートナーとしての思いが邪魔をする。それでもうまくやる、と自分に言いきかせ。自分の今の行いが本当に正しいものなのか、という思いに揺れ出した悠宇の裏、兄たちに対抗心を燃やした日葵は販売会をプロデュースする事を宣言し。不安の残る中、本番は訪れる。

 

ここまででも波乱、だが本当の波乱はここから。販売会当日押しかけてきてスタッフに収まった、日葵を「you」であると勘違いする芽依。更には求める方向性の違いにより、悠宇のアクセサリーの強みが失われ。ちぐはぐな状況は加速し、彼の心を苛んでいく。

 

「行き止まりだったなら、また歩けばいいじゃん」

 

自分の目指すべき先はここだったのか、道を見失いかける中で。悠宇の心を救いあげたのは日葵、ではなく凜音。本来ならば日葵の役目であるはずの役目を担い、陣頭指揮をし更には悠宇の心を立ち直らせる。それは正に「運命共同体」のように。

 

「じゃあ、運命共同体はわたしがもらうね?」

 

実感する、気付かされる。自分がいつの間にか間違えていた事。見えなくなる、何も。夢だと思っていたものがまやかしだと気付かされて。「恋人同士」を選んだからこその間違いを突き付け、凜音は本気で宣言する。彼女が空けた椅子を自分が貰っていく事を。

 

まさか恋人同士となる事がこんな地獄に繋がるとは。そう刻んでくる今巻。更なる地獄はまだここから、ならばそこに何が待つのか。本当に怖くなってくる次第である。

 

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