読書感想:義妹生活7

 

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読書感想:義妹生活6 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 「義理の兄妹」を超え、「家族」の前段階とも言える「恋人」となり。聖夜、そして年越しの中で未来に繋がっていく可能性を見、未来に仄かに想いを馳せて。悠太と沙季は少しずつ、恋人同士として絆を深めている訳であるが。画面の前の読者の皆様は、この二人が更に進んでいくために必要なのは何であると思われるであろうか。二人で絆を深めるのも確かに必要である。だが、それでは二人きりの世界に籠ってしまう、という危険性があるかもしれない。ならばどうすればいいのか。

 

 

2人の世界は大切である、だがそれだけではいけない。もっと大きい世界で彼等は生きているのだから。世界を広げていくためには、少しずつ二人の関係が認められる世界を作っていかねばならない。つまり必要なのは味方なのである。

 

そんな存在を作っていくために必要なのは、新たな考え方。そんな考え方と出逢うのが、今巻なのである。

 

「デザートが甘いんだから、辛くして食べたいかなって」

 

恋人同士の、ラブコメにとっては大切なイベントであるバレンタイン。勇気を出してチョコを渡し、しかし悠太に義理チョコを渡した読売先輩にもやもやが高まって、分かってはいるけれどやきもちを焼いてしまったりして。恋人同士だからこそもどかしい、そんな時間を乗り越えやってくるのは修学旅行。舞台となるのはシンガポール。文字通りの異国の地であり、異国だからこその考え方がそこにある場所。

 

「自分が好き放題に生きても文句を言われないコミュニティを見つけておくこと、だよ」

 

現地で出会った音楽を嗜む女性、メリッサ。自分の心に忠実に、様々な事に奔放で。けれどそんな生き方を許してくれるコミュニティの中で生きている彼女は、沙季の中に自分と似たものを感じ。自分の考え方を彼女に伝える。

 

我慢するだけではいつか暴発してしまうかもしれない。抱え続けるだけではいつか押し潰されてしまうかもしれない。だからこそ、自分達だけの居場所を作る。秘めるだけではいけない。誰かに伝え、味方を作る事も大切なのである。

 

「会えて、嬉しい」

 

その言葉を実践する機会はすぐにやってくる。修学旅行の最後、一瞬でも逢瀬を重ねる為に。それぞれの親友へと事情を明かし、味方を得。待ち合わせの場所で、二人はまるで映画のように合流し出会うのである。

 

秘めるだけだった二人が外に表し、更に世界が歩き出す今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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