読書感想:ポイントギフター《経験値分配能力者》の異世界最強ソロライフ ~ブラックギルドから解放された男は万能最強職として無双する~

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 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様はポケモンシリーズを遊ばれた事はあるであろうか。遊ばれた、という読者様は「がくしゅうそうち」という道具をご存じであろうか。

 

 

今はもう仕様が変わっているのかもしれぬが、昔の仕様としてはこのどうぐを持たせたポケモンは、戦闘に出さずとも経験値が貰えると言うものであり、ただ進化させるためならば使いやすいどうぐであったものである。

 

 と、言う話はさておき、つまりは一体どういう事かと言うと。この作品の主人公である冒険者の少年、フィルド(表紙右)の持っているスキルが似たようなスキル、という事である。

 

エルフや魔物と言った存在が普通にある、ごく普通の異世界。かの世界のとある国、そのトップギルド、「栄光の光」から、もう自分達は充分に強くなったと言う理由で追放されたフィルド。

 

 しかし、その判断は最悪の悪手であった。何故ならば、かのギルドの強さを支えていたのは彼だからだったである。

 

彼のスキル、「ポイントギフター」。所属する団体の稼いだ経験値を一旦預かり、増幅した上で働きに合わせ好きに分配するこのスキルで、彼は自身のレベルを上げぬままに仲間達を鍛えていた。その必要がもうないからこそ、彼は全てを返してもらい。今までに得た全ての経験値を用い、最強の力を手に入れたのである。

 

 ここから始まる、フィルドの栄光への道。対して「栄光の光」の面々に待っているのは、墜落にも等しき凋落の道。

 

まずはドラゴンを食べてみたいと出かけ、出かけた先でかつての仲間に襲撃され。あっさりと退け、仲間達に人質に取られた商人たちを助け、国から表彰され。

 

見てみたいと言う思いの元、実はエルフであった彼を慕う少女、剣聖であるルナシス(表紙左)を道案内としてエルフの国へ向かえば、国自体が弱っているという非常事態に遭遇し、エルフの国をレベルアップさせ救うため、エルフの国王に託された聖剣を片手にルナシスやエルフの騎士団と共に巨大な魔物へと挑み、成果を得る。

 

ルナシスや、彼女の妹であるイルミナ(表紙中央)から惚れられ、一人でいたいけれど何とはなしに同道を許し。順風満帆な彼とは対照的に、「栄光の光」はどんどんと落ちぶれていく。ギルドの面々が逃げ、国からもにらまれ、解体の鬱き目に遭い。リーダーであるクロードの心は逆恨みに染まり、どんどんと人としての道を踏み外させていく。

 

 再びの邂逅、それは大騒動の幕開け。クロードに呼び出された竜王、バハムートが王都を、フィルド達を襲う。彼等でも、最強の冒険者であるレナードでも敵わぬ絶望的な敵。その戦力差を覆すのは、一体何か。

 

「とびっきりの逆転劇を演じてやるからな」

 

それは、彼が助けた者達の祈り。そしてポイントギフターとしての力。全てが彼へと帰る時、無敵の力が呼び覚まされるのだ。

 

王道の追放もの、無双ものとしての面白さに溢れたこの作品。

 

追放ものが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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