さて、ヤンキーと呼ばれる人種がこの世の中には存在するわけであるが、画面の前の読者の皆様はヤンキーと聞くと何を連想されるであろうか。私は「ごくせん」を連想してしまう。ごくせん、と言っても今の世代の読者の皆様には伝わらないかもしれぬのでわからぬという方は聞き流してほしい。
上記の前置きから大体察していただけたかと思うが、この作品は「ヤンキー」が主題である。しかしこの作品におけるヤンキーは、「邪気威」と呼ばれるオーラを纏い、最早どこかのNARUTOかＤＢかと思わずボヤキたくなるような人種である、という事をお先に前提条件として語っておきたい。
そんなヤンキー達の聖地であり、法が消えた無法地帯の東北に一つの伝説があった。百人のヤンキーを返り血一つ負わず叩き伏せ、東北地方を制圧した後に消えた「純白の悪魔」。全てのヤンキー達が憧れを抱き、彼の名を継ぎたいと六つの高校がそれぞれのシマを賭け日夜喧嘩を繰り広げる、史上最大の喧嘩都市、東京都猫丘区。ある日、そこに一人の少年が降り立つ。
彼の名はレンジ（表紙左）。一見すると只の陰キャなオタク。案の定ヤンキー達からにらまれ侮られ因縁を付けられ。しかし因縁をつけた者達は、すぐに気づく。彼の底知れぬ強さに。
それもその筈、何故ならば彼こそが「純白の悪魔」、その人であるのだから。
そんな彼は転校早々、自らの高校の筆頭ヤンキー、ザクラ（表紙右）に絡まれあっという間に制圧し。自分に憧れていた、善良なヤンキー文化の発信地へと猫丘区を変えたいと言う少女、アオイと運命的に出会い、何故か彼氏彼女の関係となり。
そう、既に彼の強さは実力者たちの間には知られ始めてしまった。だからこそ、事態は彼を中心に動き出す。黒と黄色、二つの色を冠するそれぞれの高校の陣取り合戦へと否応なく巻き込まれていく。そこにあるのはザクラの因縁。過去に分かれた仲間との、果たすべき約束。
言葉はいらぬ、ヤンキーならば拳で語れ。どれだけボロボロになろうとも、立ち上がり挑んでいくザクラ。
ならばレンジがこの喧嘩で、果たすべき役割は何か。
「邪魔者を片づけるのは、俺の仕事だ」
それは、この喧嘩を穢そうとする無粋な輩をぶん殴る事。守りたいものがある、もう一度受け入れた自分がある。そしてレンジは解き放つ、戦闘ヘリのような無粋な兵器では止められぬ己の絶対的な力を。
荒唐無稽と笑いたくば笑えばいい、批判したければ批判したって良い。けれど、それでも。この作品に溢れる熱き血潮は止められぬ。筋の一本通った者達によるぶつかり合いの熱さは否定できない。
そんな泥臭くも熱さ溢れるこの作品。心燃やしてみたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
