読書感想:いずれ水帝と呼ばれる少年 ~水魔法が最弱?お前たちはまだ本当の水魔法を知らない!~

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 さて、ファンタジー系の異世界において、水魔法に分類される魔法は、バトル描写において中々使われない印象があるのは私だけだろうか。氷の塊をぶつけるより、水の塊をぶつける方が威力的には低い、気もしているのは私だけだろうか。しかし人体の構成要素は大体が水分で会ったりするために、使いようによっては水魔法と言うものは、えげつないものになったりするかもしれない。

 

 

では、この作品の舞台となるとある異世界において水魔法とはどういう存在なのであろうか。答えは簡単、その使い手は差別されてしまう魔法であり、魔法自体も劣等属性として蔑まれているのである。

 

 そんな世界の火魔法を操る貴族の家に転生したが故に蔑まれ、生まれて間もなく幽閉されてしまった主人公、ミズキ(表紙右手前)。しかし、彼は腐ることは無かった。周りに誰もいないが故に独学で磨き上げた水魔法。それはいつしか誰も知らぬ、別次元のものへと変貌を遂げていたのである。

 

その魔法を以て、八歳の時に生家を脱出し。脱出早々、自身を狙った盗賊を容易く壊滅させ、そのアジトで囚われていたエルフ、ララノア(表紙右上)を救助し。彼女に連れられ訪れた大森林で、かつて「風帝」と呼ばれたエルフの魔術師、グローリエルと出逢う。

 

 初めて得た、自分を認めてくれる人。「家族」になってくれた二人に支えられ、グローリエルを師匠とし五年間の修業に励み。免許皆伝のお墨付きをもらったミズキは冒険者となる為に、大森林を飛び出していく。

 

たどり着いた大きな街、そこで冒険者となり、早速依頼に励んでいくミズキ。

 

 彼を取り巻くのは奇異の目、そして蔑視の目。だがしかし、なんて事は無いと言わんばかりに彼はその全てを驚嘆させ、絡んできた者達を圧倒的な力で吹き飛ばしていく。

 

そんな初めての刺激に満ちた日々の中、世界的に大きな権力を持つ聖堂教会の騎士達と共同依頼に励み。共に行動する事になった騎士、エリザベート(表紙左上)の度肝を抜き、再び周囲を驚かせ。しかし、彼の前に強大な敵が立ち塞がる。聖堂教会に潜入していた魔族と言う強敵が。

 

「俺はただの新米冒険者で、『本物』の水魔法の使い手だ!」

 

 しかし、魔族は未だ知らぬ。ミズキという魔法使いの強さの底を。秘めた力の全てを。そして、「水魔法」という魔法の無限の可能性を。

 

王道に忠実に組まれ、丁寧に物語が綴られるこの作品。だからこそ、どうしようもなくワクワクする。そして可能性に満ちた魔法がこれでもかと繰り出される。故にこの作品、一巻でありながら既にとても面白いと私は言いたい。

 

王道的なファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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