読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す4 下 ~ヘンダーソン氏の福音を~

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 さて、前巻でようやっと心落ち着く休日になったかと思えば、新たなるイベント、シティアドベンチャーへの扉を開いてしまった我等が主人公、エーリヒ。よほど前世でGMに嫌われ呪われたのか、それとも転生に際して気紛れな賽子の女神の加護でも得てしまったのか。もう放っておくわけにはいかぬ。関わらぬわけにはいかぬ。そして実現不可能とも思える程のイベントに挑んでいくのが今巻である。

 

 

前巻の最終盤にかけてひょんな事から関わる事になり、ミカと共に帝都の地下を舞台とした大冒険を繰り広げた相手。修道女であり吸血種でもある少女、ツェツィーリア。彼女が何故逃げていたのか、それは父による望まぬ婚約から逃げる為。

 

 それを解決するにはどうすれば良いのか。父親をぶん殴るのか、否。彼女の答え、それは多大な力を持つ叔母に力を借りるという事。しかし哀しいかな、彼女が住むのは帝都から直線距離で百四十キロは離れた街だったのである。

 

無論帝都から逃げ出すのも一苦労、電話なんてないし簡単ではない。ならばどうすれば良いのか。

 

その唯一の解答は確かにある。だがそれは、かなりの難題。三日間身を隠し通し、三日後に来る飛行艦に乗る僧侶たちの中に紛れるというかなりの無茶。だがそれを通すしかない。なればもう、やるだけだ。

 

 故にここより、今巻のイベントであり最大のイベントが幕を開ける。追手の魔術師達と囮を駆使した追いかけっこを繰り広げ、三日後の夜。アリの子一匹逃がさぬと言わんばかりの追手たちとの市街地戦という心躍るゲームが。

 

市街地の地形を利用し追手を撒き、更には地上も地下も何するものぞと縦横無尽に駆け回り。

 

二手に分かれ逃走劇を繰り広げるミカとエーリヒ。さぁ、出目が悪いのはどちらか。ファンブルにも等しき目を出してしまうのはどちらか。

 

「期待していた形とは大いに違うが、存外悪くはない」

 

 察しの良い読者様であればもうお分かりであろう。貧乏くじを背負うのは、誰を隠そうやっぱりエーリヒである。追手から逃げ飛び込んだ下水道、何者かに誘導され玄室へと迷い込んだ彼の目の前に現れた敵。その名はマルティン。ツェツィーリアの父親であり、学院の教授と言うとんでもなく格上の相手。

 

しかも当たり前のように吸血種。つまりは不死。どう足掻いても殺せない、そもそも実力が圧倒的に足りない。そんな敵と使い魔達が一対多数という連携を見せ襲い来る。

 

今までにも増してとんでもない死闘。生き残るために繰り広げる死闘。その先に掴んだのは確かな成果、その裏で巡るは新たな厄介事の気配。

 

分冊された分、心が躍る。そんな真っ直ぐな面白さがある今巻。

 

画面の前の読者の皆様、是非見届けてほしい。きっと満足できるはずである。

 

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