読書感想:魔王使いの最強支配 1

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 さて、ファンタジーのような世界において、仲間とならぬもの、その代表例と聞けば画面の前の読者の皆様はどんな存在を思い浮かべられるであろうか。その答えは読者の皆様の心の中にあるとして。その一つに「魔王」という存在をあげる読者様は、果たしてどれだけおられるであろうか。

 

 

それもまたおかしい事ではないのかもしれない。なぜなら魔王と言えば、大抵のファンタジー、それも王道のファンタジーにおいては「ラスボス」的な存在である。物語の最後に敵対するような存在だからこそ、仲間となるのはあり得はしない。

 

 では、そんな敵がもし仲間となったのならば、一体どんな物語が巻き起こるのだろうか。その答えの一つとなるのが、この作品である。

 

かつて女神アルフラが精霊と魔族を作り、我欲に溺れた魔族に女神が天罰を与え、人間を創り出し。人間を襲いだした魔族に対抗する力を女神が与え。そして魔王と呼ばれる存在と勇者が相争うとある異世界

 

そんな異世界の片隅で今、一人の青年が追放の時を迎えていた。彼の名はルイン(表紙左)。幼馴染でもある勇者、クレスのパーティに所属する魔物使いなれど、今まで一回も魔物のテイムに成功した事が無いと言う落ちこぼれ。

 

 だが、唐突に運命の時は訪れる。「城」を探すと言う間族との激突、その後に森の中で見つけた謎の古城。そこで眠りについていた「死の魔王」、サシャ(表紙右)を進化した力、「魔王使い」でテイムしてしまったのである。

 

ルインの僕となったサシャは語る。ルインの知る歴史は偽りだらけであり、かつて自分の治世の時には魔族と人間は共に平和に暮らしていた、と。

 

にわかには信じがたいその事実、だが今まで敵でしかなかった魔族の生の感情に触れた事が否定を許さぬ。だからこそ、信じたいと思い。ルインはサシャに協力し、魔族と人間が共に暮らせる国を作りたいと進みだす。

 

 サシャを新たに仲間に加え始まる、新しく始める冒険者生活。それはとても刺激的なものとなり、ルインの名をどんどんと押し上げていく結果となる。

 

サシャの力を借りる事で得た無敵にも近い力で無双する彼の裏、落ちぶれていくクレスに迫る謎の影。

 

謎の影の言葉に従い、クレスが開放してしまった新たな魔王、リリス。サシャとは違い圧倒的な力を持つ彼女にあっという間に追い詰められ。

 

「終わらせよう。お互いに許そう。過去の誰かが殺し合ったからって、今ここに居るオレ達まで命を奪い合う必要はない」

 

 それでも諦めない。共存を願うからこそ。努力の果てに身に着けた報いの力を手に、ルインは果敢に立ち向かうのである。

 

追放ものの王道で、だからこその爽快感と熱さが面白いこの作品。

 

追放ものが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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