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読書感想:友人に500円貸したら借金のカタに妹をよこしてきたのだけれど、俺は一体どうすればいいんだろう4 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、今巻の表紙からお察しされている読者様もおられるかもしれないが、この作品は今巻で完結である。ずっと読み続けてきた身としては、少し寂しいものがある。しかしこの打ち切り溢れる昨今のラノベ界で、五巻も続けてこられたのは、正に誇るべき事なのだろう。
と、いう訳で今巻では何が起きるのか、という事であるが。前巻、改めて絆を確かめ合って、改めて誓った朱莉と求。しかし忘れてはいけない、現状この二人は遠距離恋愛であり、朱莉が受験に失敗したら、そもそもアウトであるという事。その最中、巡ってくるのは朱莉の誕生日であるクリスマスイブ。だがかつて受験という道を通られた読者様であればご存じであろう。冬休み、というのは追い込みの季節である事を。
「ぶっちゃけ、それもある!」
悶々と、もやもやとする求。同じように朱莉も、求と一緒にいたいけれど、という思いを抱えるも子供っぽいと言い出せず。 その最中、親友である昴が彼女である菜々美とちょっとすれ違い気味、という相談を受け。破れかぶれで数合わせで合コンに参加してみれば、何故か当の本人である菜々美まで来て。ドタバタと混乱の中、何とか昴と菜々美は本心を打ち明け合う事が出来て、こちらは丸く収まる。
「朱莉ちゃんに会いたかったんだ」
そんな二人を見て、求も自分の思いに素直になって。クリスマスイブでも予備校帰りの朱莉の元に合流して。イルミネーションの中を歩く、クリスマスプレゼントを贈る、そしてキスをする、という当たり前の恋人同士としての時間を過ごして。束の間の充電、その先に二人はまた自分の場所へ戻っていく。
そうなって、時は急ぎ足に過ぎていく。約束の季節、再会の春まで駆け抜ける。またふらりと一人旅に出ることにした結愛を見送ったり、物件の内検に付き合ってと押しかけて来たみのりに振り回されたり。
「いっぱい、話したいことがあるんです。いっぱい、いっぱい!」
そして、約束の春。まるで神様の思し召しのように偶々空いた、求の部屋の隣の部屋に引っ越してきた彼女。
大丈夫、もう遮るものもない。時間という無粋な邪魔もない。ここから始まるのである。何処までも続く、二人の長い時間が。
正に万感、心温かく最後まで駆け抜けていく今巻。画面の前の読者の皆様も是非、満足して欲しい。
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